第1話(後編)

「おい!お前ら手を上げろ。さもないとお前ら全員撃ち殺すぞ!」

まさか、本当に僕の教室に来ちまった。鼓動の音が姿勢を良くしても聴こえる。

女子どもが金切り声を出して泣き崩れる。さっきまで先生の授業妨害しかしてなかったのに。バカらしい。そう思えるぐらい僕は余裕で溢れていた。そう、きっと心の奥底でチャンスとでも思っているのだろう。

 気がつくと僕は1人立ち上がり腕を下げ僕にとってのヒーローに対して偉そうにもこう言った。

「だったら殺してみろよ。」

ヒーローは怒り出す。当たり前だ。至極。しかし僕はもはや誰も制御できない。担任はひどく僕を睨む。ほかの人達も例外ではない。

「ほら。おい、殺ってみろよ。」

そして1人が引き金を弾く。そして弾丸が僕の方向いて動く…と思っていた。弾は思いっきり明後日の方向に行き、銃の反動で無様に倒れていった。そして次の瞬間、僕はヒーローの腹を蹴った。それと同時に担任ももう1人を蹴った。即座にヒーローズは倒れ、取り押さえられた。やったぞ!俺は理想をほぼ叶えた。これであとは告白してOKが出れば…

僕は混沌とした教室から抜け出した。好きな人を連れて。告白場所は家庭科室。思い出深い場所なのだ。連れてきた。もう、後には引けない。

「好きだ、付き合ってくれ」

シンプルがいいってネットには書いてあった。好きな人はいつもよりも頬の色がわかりやすくなっている。そして、口が開いた

「はい!喜んで!」

よっしゃぁ!ガッツポーズが自然に出て少量の泪が出る。これがほんとの雀の涙か。違うな。頭がまだ追いついていないのが分かる。

「でもひとつ伝えたいことがあって…」

彼女から言われた。もうなんでもいい。ばっちこい。

「私、今彼氏5人いるけどね!

            大丈夫だよね!」

えっ。

話と違う気がするのは僕だけか?えっ。普通恋人って1人じゃないの?えっ。まじ?えっ。

「大丈夫だよね⁉︎」

気付かぬうちにまた僕は

「うん!」

と答えてしまった。

 一つだけ僕は言わさせて欲しい


  こんなはずじゃなかったのに!…と。

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こんなはずじゃなかったのに! 瀧 壮一 @taki_soichi

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