第26話 目星の勇者に話しかけるヒカル

「ヒカルはこの後、寮に行くの?」


「えっ!?それは・・・」


「あらスクルド。私とヒカルは寮には入らないわ。さすがに毎月金貨5枚は私達には厳しいからね。」


「えっ!?そうなの?じゃあどうやって通うの?」


「安い借家を見つけたの。私とヒカルは今そこに住んでるのよ。」


「ヒカルと!?2人で!?ちょっとヒカル。どういう事?」


(いやいやメイリさんや。絶対わざとでしょ。スクルドがこうなるってわかってたよね?)


「スクルド。落ち着いて。」


「だって同棲してるって事でしょ!?落ち着いてなんかいられないわ。」


「そうよスクルド。私達は一緒に暮らして、一緒に学校まで来て一緒に帰るの。寝る時だって・・・まあ一緒に暮らしてるからそんな感じよ。」


「一緒に寝てるの!?」


「メイリ。ちゃんと説明しないとスクルドが誤解するだろ。いやいや部屋はちゃんと2つあるよ。寝るのはもちろん別の部屋だ。」


「信用できないわ!そうよ。今から家を見に行くわ。ヒカルとメイリがちゃんと生活してるか心配だし、どこに家があるのかも知っておきたいし。」


「えっ!?来るの?」


「もちろんよ。何?私が行ったらダメなの?そんな事ないわよね?」


「う、うん。もちろん大丈夫だよ。」


「なら早速行きましょ。」


(俺何してるんだろ・・・折角アルスとロランに話しかけて友達になろうと思ったのに・・・初日から躓いてるじゃん。は~。明日からも気が重いな・・・)


スクルドはヒカルとメイリが住む家までついてきて、二人が別々の部屋で寝ている事を確認すると、安心したのかそのまま帰って行った。


(よかった。何事もなく帰って行ったよ。泊まっていくとか言われたら困ったもんな。いやでも家の場所が知られたから朝迎えに来るとか無いよな・・・。あるわけないか。スクルドって上級貴族の娘さんだもんな。今日は歩いてここまでついてきたけど基本馬車での通学だよな。うん。切り替えてアイテムボックスの検証でもしよう。)


スクルドが帰り、食事などを終えて部屋に戻ったヒカルは、ミッションクリアで手に入れたアイテムボックスの検証を行っていた。


(なるほど。手に触れていればアイテムボックス中に入れる事ができるんだな。そして取り出しも自由っと。とりあえず今日はお湯を入れておいて明日の朝、温度がどうなってるかは検証しないとな。容量はとりあえず今は検証できないからドンドン入れて行って調べるしかないな。)


そして翌日・・・


「おお!!湯気が出たままだ。って事は時間停止確定だな。これで食事の心配事がなくなったのは大きいな。アイテムボックスに入れてれば干し肉と固い黒パンでの生活とオサラバだな。」


「ヒカル~。」


「起きてるよメイリ。ちょっと待って!!」


「えっ!?なんで起きてるの?」


(いやいやメイリさんや。そのやり取り昨日したじゃん。俺も学んだからね。メイリに起こしてもらうと危険だなって事を。)


準備を終えたヒカルとメイリーンは魔法学校へと向かった。その道中・・・


「えっヒカル。アイテムボックス使えるようになったの?」


「うん。なんか魔力操作の練習してたらいつの間にか使えるようになったんだ。」


「すごいじゃん。アイテムボックス持ってたら魔物とかも狩り放題だね。お金もドンドン稼げるじゃない。」


「それだけじゃないよ。調べてみたけどアイテムボックス内は時間が経過しないみたいなんだ。だからご飯とか作ったヤツを入れておけばいつでも温かい料理が食べれれるよ。」


「本当!?それはすごいね。じゃあ私がどんどん作ってヒカルのアイテムボックスに入れれば夜営とかしても安心だね。」


「そうそう。それにテントとかも準備できるしね。」


「じゃあ学校が休みの土曜日、日曜日は泊まりで出かけてもよさそうね。」


「そうだな。その辺もこれから考えて行かないとな。」


そんな話をしながら魔法学校に到着したヒカルとメイリーンはAクラスの教室に入り、昨日と同じ席に着いた。昨日座った席が定位置へと自然に決まっているのか入ってくる人、入ってくる人昨日と同じ席に座って行く。


(まだ始まるまで時間があるし、話しかけてみるか。積極的に話しかけるような陽キャじゃないけどこればっかりはしょうがないよな。なんといっても勇者が2年になれなかったら俺死ぬもんな。とりあえずロランにしよう。話しかけやすそうだ。)


「おはよう。たしかロランだったよな。俺はヒカル。同じAクラス同士よろしくな。」


「ヒカル君?うん。こちらこそよろしくね。」


「ロランは一人で座ってるけど、ここには一人で来たのか?」


「うん。僕がいた村は田舎だからね。みんなが僕の為にお金を集めて送り出してくれたんだ。だからまだ全然友達もいないんだ。」


「まあ俺も似たようなもんかな。俺は孤児院出身だけどな。よかったら俺と友達になってくれないか?」


「うん。もちろんだよ。こちらこそよろしくね。」


(ヨッシャー!がんばったかいあって友達になろう作戦成功だ。ナンパもしたことない俺だったけど案外うまく行くもんだな。それに田舎出勤の素朴な少年ってメッチャ勇者っぽいし。)


そうしてヒカルは、無事に勇者???と友達になったのだった。





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勇者に魔王を倒させろ!?チートはないけどリスク&リターンでやってやるぜ! ベルピー @hiromi0033

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