言い訳人間

杉野みくや

『言い訳人間』な自分が、僕は嫌いだ

「先生、宿題忘れました」

「また!?たけるくん、なんでやってこなかったの?」

「だって、時間が無かったから——」


 まただ。また要らぬ言い訳をしてしまった。これで何回目だろうか。


 振り返ってみれば、時間の作りようはいろいろあったはずだ。動画を見る時間、ゲームをする時間、他にも削れそうなものはいくつか確実にあった。なのに、時間を無駄にしてだらだらと過ごしてしまった。

 悪いのは自分なのに、すぐ言い訳を口にしてしまう自分のことが、僕は嫌いだ。


 テストで悪い点数を取ってしまった時。

 部活で大きな失敗をした時。

 夜更かしがバレた時。

 待ち合わせ場所に遅れてしまった時。


 他にも、注意されそうになったり、怒られたりしそうになった時、僕はことごとく言い訳に走った。全て自分が悪いのに、すぐ無実の何かに責任をなすりつけようとする自分のことが、僕は嫌いだ。


 素直になって謝れば済む話なのに、きちんと反省して行動を改められれば良いだけなのに、思春期特有のひねくれたプライドが僕の邪魔をする。


今までに何度も、素直に謝ろうと考えた。だが、そのプライドが僕の感情を急速に支配し、囁いてくるのだ。


『周りから、過ちを犯したダサい奴だと思われたくない』


 そんな軽くてイタい気持ちが僕の中で反響していく。そして次の瞬間には、またひとつ余計な言い訳を発してしまうのだ。


 最近は、こんなプライドがなければもう少し楽に生きることができていたのかなと思うことがよくある。何の役にも立たない、勝手な保身のためだけに存在するようなプライドを殺すことができれば、どれだけ立派な人間になれたことだろうか。


現に、部活で活躍している友人や勉強で優秀な成績を収めているクラスメイトは皆、自分に非があればすぐに認めている。その上で、反省点をしっかりと洗い出して次につなげようとしている。


 僕が『言い訳人間』から卒業できる日は来るのだろうか。

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言い訳人間 杉野みくや @yakumi_maru

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