とある別れのいいわけ……あるかい!

無限飛行

はあ!?

「何故、何故なんだ!?私達は上手くいっていたはずだ。別れるなんて許さない!」

「ごめんなさいジーク。私、あなたに黙っていた事があるの」




とある異世界での卒業記念パーティー。

この国の第一王子ジークフリートは、最愛の子爵令嬢ライラの言葉が信じられなかった。


何故なら昨日、彼女を事あるごとに苛めていた自身の婚約者であるエレノア公爵令嬢を断罪して婚約破棄をしたばかり。


ようやく目の上のたんこぶであった障害であったエレノアを排除し、念願のライラとの結婚に向けた準備を始めたところだったのに、ライラからのまさかの告白に困惑を隠しきれないジークだ。


「黙っていた事とは!?」

「ごめんなさい、貴方に嘘をついてしまっていたの。私は実は男性なんだ。最初はただ遊び半分で女装をしていたけれど、君と出会ってからは自分自身を変えたかったんだ。でも、いつかバレることは覚悟していたんだ。君を傷つけるつもりはなかったけど、今回は本当に申し訳ない」


「は!?」

「それに私が好きな人は別にいるんだ。貴方にその人を紹介したい」


「一体君は何を言っているんだ???」

「私が好きな人、それは貴方の元婚約者、エレノア公爵令嬢なんだ」


「はあああああ!!?」


「エレノア!」

バタンッ

卒業パーティーの会場、大勢の人々の見守る中、中央の扉が開き、ライラの声に現れたのは!?


「ライラ!」


昨日、第一王子ジークフリートに断罪され、婚約破棄をされたエレノア公爵令嬢、その人である。

二人は会場の中央で抱き合い、熱いキスをした。


そして、唖然としていたジークに向き直る。


「ごめんなさい、ジーク。私達、貴方を騙していたの」

「すまない。エレノアの婚約を無かった事にする為には、君から婚約破棄を言い出してもらう必要があったのだ」


「はあ??」



「これで心置きなくエレノアと婚姻できる。君には感謝しかない」

「ジーク、貴方の事は一生忘れないわ」


「はあ……」



ライラとエレノアはそう言うと、ライラはエレノアを抱き上げ、さっそうと会場を退場。



あとには、髪の毛が真っ白になったジークが、一人佇むだけであった。



完?

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とある別れのいいわけ……あるかい! 無限飛行 @mugenhikou

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