神から超能力をもらった!?これで成り上がれ……る?
三国洋田
第1話 天使(?)出現
今日は休日だなぁ。
さて、何をしようか?
このままダラダラと寝てようかな?
「おはようございます」
突然、俺の目の前に空飛ぶ絵画が現れ、挨拶をしてきた。
大きさは、縦四十センチ、横六十センチくらい。
中央に岩がある池の絵が描かれている。
「ぎゃあああああああっ!!!!! な、なんだこれは!?」
「落ち着いてください。近所迷惑ですよ」
「あ、ああ、そうだな…… って、落ち着けるかっ!? なんだお前は!? 幽霊とか、妖怪とかなのか!?」
「いえ、違います。怪しいものではないので、落ち着いてください」
「いや、思いっ切り怪しいだろ!?」
「いやいや、怪しくありませんよ。私はギャグの神の天使です」
「ギャグの神!? 天使!? なんだそれは!?」
「名前の通り、ギャグを
「ほ、本当に天使なんですか!?」
「はい」
「そ、そうなんですか……」
そんなのいるんだ……
「私の名前は『いいわけ』です」
いいわけさんというのか。
妙な名前だな。
「名前の由来は見ての通りですよ」
「えっ!? どういうことですか!?」
「私自身に描かれているでしょう?」
「その中央に岩のある池のことですか?」
「はい、この『いわ』は『い』『け』の真ん中にありますよね。だから、いいわけなのです」
『い』
「それはギャグなんですか!?」
「はい、その通りです! 神の考えたギャグです!!」
く、くだらねぇぇぇぇぇぇっ!!!!!
「それで、いいわけさんは何をしに来たのですか?」
「あなたに超能力を授けに来ました」
「ええっ!? 超能力!? なんでいきなりそんなことを!?」
「神の
「そ、そうなんですか……」
暇つぶしに、人間に超能力を渡すのかよっ!?
世の中が混乱するとは思わないのか!?
とんでもないヤツだな!?
そいつ邪神なんじゃないか!?
「それで、その超能力というのは、なんですか?」
「『いいわけ』という超能力です」
「えっ、超能力の名前も『いいわけ』なんですか?」
「はい」
「ややこしいですね」
「そうですねぇ」
「どのような効果があるのですか?」
「効果は、全部で四つあります」
「四つも!? どんな効果なんですか!?」
「ひとつ目は『いいわけ』と読むことができる文字を、上手に書くことができるようになる効果です」
「……えっ!? うまく書けるだけですか!?」
「はい」
ええ……
なんか微妙じゃないか……
いや、そう決め付けるのは良くないな。
ちょっと試してみよう。
俺は習字セットを出してきて、文字を書いてみた。
おおっ!!
確かに『いいわけ』という文字だけが、うまく書けるぞ!
素晴らしい達筆だ!!
『言い訳』『言い分け』『井伊和家』『医胃我化』などのような『いいわけ』と読める文字なら、なんでもうまく書くことができるようだ。
これは書道家になれるかもしれないぞ!
文字が限定されまくるけどな!
「ふたつ目は、毛で上手に輪を作ることができるようになる効果です」
「毛で輪!?」
「はい、言葉通り、毛で良い輪っかを作るから『
な、なんじゃそりゃぁっ!?
「それはなんの役に立つのですか?」
「そこは自分で考えてください」
「はい、分かりました……」
そんなのどうしろと!?
とりあえず、試してみるか。
俺は枕に付いていた、自分の髪の毛を輪っかにしてみた。
確かにキレイな輪になったぞ。
だからなんだという感じだがな!!
「三つ目は、良い感じにお風呂を沸かせることができるようになる効果です」
「風呂!? 風呂限定なんですか!? ヤカンの水はダメなんですか!?」
「はい、ダメです。お風呂限定です」
「そうですか……」
なんとも微妙だなぁ。
でも、まあ、光熱費の節約にはなるか。
うん、そう考えると、ありがたいものだな!
ギャグの神様ありがとう!!
「使い方は、水のたまった浴槽に『いいわけ』と唱えてください。すぐに沸きますよ」
「分かりました。ところで、なんで『いいわけ』と唱えるのですか?」
「良い感じにお風呂を沸かせることができるからですよ」
どういうことだ?
あっ、そうか!
漢字に変換すると『
く、くだらなさすぎる!!
「四つ目は、ホールケーキを上手に切り分けることができるようになる効果です」
「それは言葉通りの効果なんですか?」
「はい」
ええ……
「ピザやアップルパイは切り分けられないのですか?」
「はい、ダメですね。ホールケーキ限定です」
「そ、そうなんですか……」
なんだそれは!?
どれも似たような形なんだから、切れても良いじゃないか!?
微妙すぎるぞ!?
「以上ですね」
「分かりました。あの弁解という意味の『言い訳』がうまくなったりはしないんですか?」
「しませんよ」
「なんでですかっ!?」
『いいわけ』といったら、真っ先にそれが思い浮かぶだろうがっ!?
「神の
「そ、そうですか……」
その上司は、神をものすごく理解しているんだな!
「他に質問はありますか?」
「いいえ、ありません」
「では、私は帰りますね」
「はい、ありがとうございました」
いいわけさんが突然消えた。
奇妙な超能力をもらってしまったなぁ……
さて、こいつで何をしようか?
とりあえず、風呂に入ろうかな?
俺は風呂に水を張った。
そして、風呂に向かって『いいわけ』と唱えてみた。
おおっ、風呂が沸いたぞ!!
こいつは便利だ!
すごいもんだな!
では、入るか。
風呂に
うーん、やはりひとつ目の効果で、作品を作るしかないか……
なんて書こうかな?
うーむ、そうだなぁ……
その後『良いわ家』と書いた紙を『家内安全』のお守りとして『良いわ毛』と書いた紙を『抜け毛予防』のお守りとして、販売してみた。
そこそこ
そして、三つ目の効果で、光熱費が減った。
だが、風呂に入りすぎたせいで、水道代は増えてしまった。
ああ、やれやれ……
めでたしめでたし?
おしまい。
神から超能力をもらった!?これで成り上がれ……る? 三国洋田 @mikuni_youta
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