許すまじ

赤城ハル

第1話

「……アンタ、この前の土曜日、合コンに行ったよね?」

「行ってないよ。朝浦と食事に行ったんだよ。なんで合コンになるんだよ」

 と彼は私の目を合わさずに言う。

「その朝浦君と一緒に合コン行ったんでしょ?」

「違うって! 朝浦達と飯食ったの? 前から一緒に食うって話だったろ? お前にも話しただろ?」

「女子がいたんでしょ?」

「いないって」

「女子メンに大学時代の後輩がいたから」

 急に彼は指を動かしたり、右上を見たりして、

「え、あっ、そ、そりゃあ、朝浦だってあちらこちらから声を掛けたら来るだろ。たまたま1人居たってさ……」

「4人」

「タダ飯食えると思って来たんだろ? たくさん」

「4対4で? これって偶然?」

「偶然だって」

「後輩は合コンだって誘われたらしいよ」

「俺だって知らなかったんだよ」

 彼は素早く手を動かして否定する。

「朝浦君に聞いたら合コンって知ってたらしいわね」

 はい。これで詰み。先に朝浦君から聞いたことを告げれば良かったんだけどね。

 でもね、私は信じてたの。

 彼が嘘をつかずにきちんと反省して謝ってくれると信じてた。

 なのに……。

「合コンと分かって行った」

「なら……」

 謝れと言う前に、

「いいじゃねえか。お前だって合コンに行ったことあるんだし!」

 うわ、開き直った。しかも何よ、お前もって?

「いつ!? 私が合コンに行った!?」

 私はテーブルに手をおもいっきり当てて、怒鳴る!

「つ、付き合った頃だよ」

 付き合った頃。合コン。……ああ、あれか。

 でも、あれは……。

「アホ! あれはセッティングした子が彼氏のこと知らなかったからだろ! しかも私は合コン中にアンタに連絡しただろ! 成り行きで合コンに参加したけどゴメンって!」

「ならいいじゃん」

「何が『なら』だ!? 言い訳んすんなや!」

「言い訳じゃないって」

「はあぁ!? 初めっから嘘をついてるやつが何を言い訳ではないと? 嘘をつき続けてる時点で言い訳なんだよ! しかも昔の事まで持ち出して? それが今と何の関係があるんや!」

 私は平手で彼の頬を思いっきりはたいた。

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許すまじ 赤城ハル @akagi-haru

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