アンラッキーな日

鳴代由

アンラッキーな日

 ひとつ。朝、目が覚めたとき、ちょうど七時七分だった。これは細かく言うと目を覚ましたそのときではなく、目を覚まし、一日の一番最初に時計を見たときである。


 ふたつ。今日の日付に、「七」が入っていた。時間が七時七分だったのだから、日付も七月七日ではないのか。否、今日は三月十七日である。


 みっつ。トイレに駆け込み、用を済ませたとき、巻き取ったトイレットペーパーの回数が七回だった。一度のトイレで七回も巻き取るのは流石に多いのではないかと思うだろう。だが朝のトイレだ。そういうこともある。今日はそういう日だったのだ。


 よっつ。朝ごはんの味噌汁に入っていたじゃがいもの数が七つだった。いつもは薄く切って入れ、一食あたり二、三個しか器によそわないのだが、それが重なっていたらしい。七個、入っていた。しかも、ちゃんと切れていなかった。


 いつつ。出かけようと家を出たとき、ちょうど七羽の鳥が空の向こうへと飛び立っていった。おそらく、雀かなにかだ。小さい鳥だった気がする。



 むっつ。今日乗った電車の発車時刻に、ことごとく「七」が入っていた。七分だったり、十七分だったり、三十七分だったり。


 ななつ。食料を買いに出かけたのだが、その会計の下三桁が、七百七十七円であった。流石に七千円にはいかなかったので、七をよっつ揃えることはできなかったけれど、みっつ揃えるだけでもかなりいい出来だろう。


 なんてことない日だったが、「七」という数字がこれだけ重なってしまった。ラッキーセブンとは言うけれど、ここまで重なると逆に気持ち悪くなるというもの。もしかすると、ラッキーなんかではなくアンラッキーなのでは、とも邪推してしまう。


 その証拠に、僕は今、布団の中で眠ることができずに朝を迎えようとしている。もうすぐ、朝の七時なのだ。ここまできたら、アンラッキーを脱ぎ捨てて、笑ってしまうのがいいかもしれない。

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アンラッキーな日 鳴代由 @nari_shiro26

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