漆野圭 6 (アンラッキー7)
帆尊歩
第1話 半ラッキー7
「ラッキー7?今時そんな事言う」
「私は、圭のそういうリアリストなところは嫌いじゃないよ。でもサプライズは必要だと思うの」と砂羽が言う。
「でもさ、そういう迷信に惑わされる人生に勝機はあるの?科学的根拠のない統計に、人生をかける意味があるの」
「じゃあ、なぜ7は縁起が良いの」
「知りませんよ」
「私は、一週間に関係していると思う」と砂羽。
「神様がこの世界を作るとき、一週間かけたから、だから7は縁起が良いなんて言うの」
「おしいな。私の見解では、神様は6日で世界を作った。7日目はあー、あー、疲れた、疲れた、と言ってお休みする。7日目はお休み、今日は休みだ。休みは楽しいな、楽しい休みはラッキー」
「で、ラッキー7?」
「そう」
「嘘くさ」
「だって今だって、7人しか並んでないんだよ。7番目、これは絶対ラッキーでしょう」
「それは一番前の人が、いなくなって、たまたま、今7人と言うことでしょう」
「でも、その一瞬の刹那の7人の中に並ぶことが出来た。これはラッキーだよね。」
「砂羽は、どうしても7はラッキーだと思いたいのね」
「だから、7を褒め称えることで、気持ちは晴れ晴れとするんだよ。
7は良いな。
7は素晴らしい。
7は最高。
7は美しい。
7は人類の救い」
「後の方は意味わかんないよ砂羽」
「信じる物は救われる」
「でもさ」
「でも何よ」
「見て、売店に並んだのが7人。焼きそばパンの残りが7つ。焼きそばパンが買えるんだよこれをラッキーと言わずしてなんだって言うのよ。
あっおばちゃん、あたしも焼きそばパン」
「あいよ。最後の一つ、ラッキーだね」
「ありがとう」と砂羽が列を離れる。
「あたしも、焼きそばパンが・・。おばちゃん、ないよね」
「ごめんねー」とおばさんの声が高らかに響く。
あたしは心の中で叫んだ。
「砂羽、アンラッキー7じゃないか」
「じゃあ半分あげるよ。これで半ラッキー7だね」
「ええー」
漆野圭 6 (アンラッキー7) 帆尊歩 @hosonayumu
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