第四節
昼の十二時半に起きて、僕はようやく事の重要性を理解した。急いで準備をして駅まで向かい、電車に乗り込む。慌てて出たものだから、髪はボサボサだし服装も多少乱れているが、それはもうどうしようもないことだった。
電車に揺られ、バスに揺られ一時間半くらい経った頃、ようやく僕は彼女の墓の前にたどり着いた。今日で亡くなって半年だ。
頼りない人間でごめん、と墓石の前で頭を下げる。
親しい人の死を乗り越えるのは厳しい。それが、片想いであれば余計に厳しい。あの時想いを伝えていれば、どうにか変わったのかもしれないのに。そればかりが僕を
日が陰ってきた頃にようやく僕は墓参りの本質を思い出し、墓石を磨き、花を入れ替え、お供物を備えた。彼女の好きだった紅茶を添えて。
帰り際、
ウィステリアの花園 るなち @L1n4r1A
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます