第4話 全体スケジュール
※作者注:
文中に表が出てきますが、幅が全角32文字あります。PCではそのまま表示できますが、スマホ等で表示が崩れる場合、文字サイズを小さくするか、画面を横にして見てみてください。また、縦組みでも表示できなくはないですが、横組みでの表示を推奨です。
※本編:
「どうしてソファーに寝てたんですか!」
「良いではないか。お主も悪い気はせんじゃろ?」
それはまあそうだけど、僕が折角自制しようと頑張っていると言うのに……朝食を食べながら昨晩のことを注意すると、詩織さんはちょっと意地悪そうに笑った。
「聖也は今日も会社は休みか? ならばちょうど良い。約束通り、祭りについて教えてやるとしよう」
「まだカクヨムコン9に参加するともなんとも言ってないんですが……」
「私と同居し始めた時点で必須じゃ。ワクワクするのお!」
詩織さんが参加したいだけなのでは? そう思いつつ、自分もちょっとは考えていたことだし、いい機会だから教えを請うことにする。昨晩は結構遅くまでネットやカクヨムで情報を集めて、計画を練っていたらしい詩織さん。マメだなあ。朝食後に落ち着いたところで、リビングのテーブルに向かい合って着いた。
「お、お願いします」
「うむ。まあ、そう固くなるな。祭りは参加することに意義があるし、楽しまなければ意味がないからの」
「はい!」
「良い返事じゃな。では早速、これが私の考える祭り参加へのスケジュールじゃ!」
既にタブレットを使いこなしている詩織さんは、ペンで書いたであろう手書きの画像を表示して僕に見せる。それは次の様な感じだった。
(横軸は月)
┏━━━━━━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃ ┃④┃⑤┃⑥┃⑦┃⑧┃⑨┃⑩┃⑪┃⑫┃①┃②┃③┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃一作目:立案┃◆┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃一作目:執筆┃ ┃◆┃◆┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃一作目:投稿┃ ┃ ┃ ┃◇┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃活動 ┃ ┃ ┃ ┃◯┃◯┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃二作目:立案┃ ┃ ┃ ┃◆┃◆┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃二作目:執筆┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃◆┃◆┃◆┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃二作目:投稿┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃◇┃◇┃ ┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃活動 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃◯┃◯┃◯┃ ┃
┣━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃結果発表! ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃☆┃
┗━━━━━━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
「二作書くのじゃ」
「えーっ! な、なんかいきなりハードル高くないですか!?」
「ちゃんと根拠があるのじゃぞ。良いか?」
詩織さんの説明によれば、カクヨムコンにいきなり投稿するだけでは、まず一次審査である読者選考を突破できないと。
「カクヨムの投稿システムでは、作者が投稿した小説に対して、他の読者ユーザーが『作品フォロー』『星』『ハート』をつけることでそれを評価するのじゃ」
「それは何となく知ってます」
「そしてカクヨムコンの読者選考では、どうやら『作品フォロー』『星』の数が大きく関係しておる」
「なるほど」
そこで一番問題になるのは、『誰が自分の作品を評価してくれるか』と言うことらしい。
「カクヨムコンの投稿期間中は、それ専用のランキングページが追加されるわけじゃが、ランクの上位に貼り付いている作品ならともかく、素人のお主が投稿した作品はよほどの傑作でも無い限りなかなかランク上位には入らんじゃろうな」
文芸の神様がその傑作を手助けしてくれると助かるんですけど……それはしないと詩織さん自身が昨日言ってたもんな。
「そしてある程度『作品フォロー』と『星』を集めると、カクヨムのトップページにある『注目の作品』に載る。しかしいつ載るか、どういう条件で載るかは良く分からん。ここに載れば文字通り注目は集めるだろうがな」
「なかなか厳しいですね」
「じゃろ? つまり、じゃ。お主が投稿したとして、それを読者に読んでもらうこと自体が難しいのじゃ。大きな湖に石ころを投げて、それを探してくれと言っている様なものじゃ」
「無理ですね」
「無理じゃろ? そこでじゃ、お主の会社でも何か商品を作れば、宣伝なり営業なりするじゃろう? カクヨムでも同じことをして読者を獲得せんことには、『作品フォロー』も『星』も稼げん」
そのための手段が『二作書くこと』らしい。つまり、一作品目はカクヨムとシステムに慣れて、そして宣伝したり営業したりするための練習用。ここで獲得した読者は、次回の二作品目も読んでくれる可能性が高いとのこと。
「二作品書くことは大体分かりましたけど、時々ある『活動』ってなんですか?」
「これが営業じゃ。読者はいわゆる『読み専』だけではないぞ。実際にシステムに投稿している『書き手』も読者の内なのじゃ。そういう『書き手』の作品を読んでフォローしたり星を付けてレビューしたりする。そうすると、相手もお主の作品を読んでくれるじゃろう?」
「まあ、その可能性は高いですね」
「カクヨムで言うところの『読み合い』じゃ。『読み専』の人間の行動パターンは何種類かある様じゃが、これを作者がコントロールするのは難しい。しかし同じ『書き手』であれば、こちらの行動に呼応して評価してくれる可能性が高いのじゃ。カクヨムコンでは、この『活動』こそが鍵なのじゃ」
そして他の書き手の作品にレビューすると、カクヨムのトップページにある『新着おすすめレビュー』に載る。これが自分の作品を読んでもらうトリガーになるとのこと。すげーな、神様! ほぼ一日でそこまで調べたの!? って言うかここに来る前から知ってたんじゃないの?
「フォフォフォ、実は祭りについて詳しい神に、メッセージを送って教えて貰ったのじゃ。中には実際にカクヨムコンにトライしている神もおるからの」
「えーっ、それズルくないですか? 神様が相手じゃ勝てっこないじゃないですか」
「いやいや、神だからと言って文章が巧いわけじゃないぞ。皆祭り好きじゃから参加しておるだけじゃしな」
それでもちょっとズルいと思いつつも、全体のスケジュールについては理解できた。二作書けるかどうかはまだ分からないけれど、せっかく詩織さんが考えてくれたスケジュールだし、頑張ってみようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます