ナンバー7に嫌な予感

ふさふさしっぽ

本文

 とあるアパートの一室。

 工藤あかりはリビングで、マシュマロ入りココアと食パンの朝食を取り、くつろいでいた。

 工藤あかりは二十八歳の独身女性。このアパートで二匹の猫を飼っている。黒猫のココアと白猫のマシュマロだ。

 二匹の猫はあかりに拾われてから今まで、飼い猫として悠々自適猫ライフを送っていた。


「今日の私のラッキーナンバーは7かあ」


 朝のニュース内でやっている「今日の占い」を観ていたあかりがつぶやく。


「あかりはどうしたんだ、仕事もないのに今日はやけに早起きだな。しかもテレビに向かってつぶやいたりして」


 白猫のマシュマロは、黒猫のココアに尋ねた。二匹とも猫用フードを食べている最中だった。


「確かに、一人暮らしで『今日の私のラッキーナンバーは7かあ』なんてつぶやくのはちょっと異様だけれど、そういうこともあるんじゃないの」


 ココアは気にせずフードを食べる。あかりはひとりごとを続ける。


「ココアにはマシュマロを7つ入れちゃおうっと。あ、やったあ、この食パンで春のパン〇つり7点溜まった」


「なんだか嫌な予感がする」


 マシュマロは食べるのをやめ、警戒態勢に入った。


「はあ? どうしたのマシュマロ、どういうことか、説明してよ」


 対してココアはまだのんびりモードだ。


「さっきからあかりは『7』を連発している。それが不吉なんだ。7という数字が、アンラッキーな感じがしてならない」


「7はラッキーナンバーでしょ? ……いや、そういう僕も、なんだか7にアンラッキーさを感じる……なぜだろう」


「外部から見えぬ力で圧力をかけられてるみたいだ。とにかく『7』は今だめだ。回避しよう」


 マシュマロがそう言ったとき、


「ココア、マシュー、おやつにちゅるるのバナナ味だよーー。ほらほら食べなーー」


 朝食を終えたあかりが新発売の「ちゅるる」を手にやってくる。


「わーい、ちゅるるだーー!」


「待てココア、バナナ味、バ……7だ、危険だ」


「じゃあマシュマロは食べなければいいじゃない、僕がマシュマロの分ももらうよ」


「なんだと!? 俺も新発売のちゅるる食べたい……」


 二匹がちゅるるに引き寄せられるやいなや、あかりは二匹を素早く捕まえ、猫用キャリーケースに押し込み、鍵を閉めてしまった。


「えーーーー!? あかりちゃーん!!」


「閉じ込められた? まさかこれは」


 マシュマロの予想は当たった。やっぱり7はアンラッキーナンバーだった。今日に限って。なぜか。


「さて、ココア、マシュー、これから動物病院行くよー。猫も定期的に検診しないといけないって、経理の七瀬さんが言ってたからね」


「誰だよ七瀬さんって!」


「病院やだーー!!」



※ 病院後、二匹はちゅるるをもらいました。


 

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