七草戦隊フェアリーズ【KAC20236】

朝風涼

敵はラッキーセブンなり

気持のいい朝だった。かぜはそよ風。春の風に乗って桜や菜の花、蓮華草の香がやってくる。私たちフェアリー達が住んでいる梨園の花も咲き出した。


「のんびり作業してもいいよね」


そう思いながら、私「セリ」は、バトンを片手に、梨の花にあいさつに出かけた。


「敵襲、敵襲」

突然の警報が鳴った。


「何が起きたんだろう。でも、急いで女王様のところに帰ろうよ」

隣で飛んでいた、ナズナちゃんに声をかけた。


「フェアリーズは全員、出撃準備をして女王様の御前に集合せよ」

途中で、ダイコク大佐に声をかけられた。


さくら女王の間では、軍議が開かれていた。


敵は、カメムーシらしい。奴らは、栄養を全部吸い取ってしまう悪い奴らなのだ。毎年5回くらい襲ってくる野盗なのだ。


今回の襲撃は、1部隊が5匹単位の35匹で、7部隊。「ラッキーセブン」と勝手に名乗っているらしい。


何がラッキーセブンだ。数が多ければいいってわけじゃないんだからね。こっちだって、七草戦隊なんだからね。


よぶんな事を考えていたら。ダイコク大尉と目が合った。


「セリ隊長。七草戦隊フェアリーズは、今回が初仕事だったな。日頃の成果を見せてもらうぞ。得意魔法を活かしてがんばれ」

「了解です。ダイコク大佐」


数分後、私たちフェアリーズは、スズナちゃんのカブマシンに3人。スズシロちゃんの大型マシンに4人乗り込んだ。


涼風農園を飛び立つと、2キロ先の蓮華畑の上空で奴らと遭遇した。


「われらは、カメムーシ戦隊『ラッキーセブン』である。近寄ると容赦はないぞ」

「うるさい。なにがラッキーセブンよ。みんな、チームワークでいくわよ」


私の合図で外に飛び出した。


ホトネちゃんが、バトンを時計回りにグルリと回した。金色の輪が出来て、そこから金色のビームが発射された。

「うわあ、まぶしい」


ゴギョウちゃんは、バトンを抱えて祈るようなポーズをした。黄色のシャボン玉が飛んでいき、35匹のカメムーシ達をひとつにくっつけてしまった。

「ななな。べたべたで動けないではないか。我らラッキーセブンの勝利のポーズが………」


親友の、ナズナちゃんがバトンを振った。たくさんのペンペン爆弾が飛んで行って、カメムーシ達にくっついた。

「こんなもの、どうでも、なるはずだ……ならん。むむむ。何をする気だ」


「そろそろ終わりね。ラッキーセブンだか何だか知らないけれど、おとなしく帰ったら許してあげるわ」

「バカモノ。帰るものか」


「仕方がないわ。ハコベちゃんラストよ」


ハコベちゃんがバトンを十字に振った。白い光の花が十字に広がり、そこから、白の閃光がペンペン爆弾を突き刺した。

「ばばばばばーん」

ペンペン爆弾が連鎖反応して、カメムーシ達は真っ黒けになった。


「真っ黒けのラッキーセブンなんて、おかしいわ。そうだ、名前を変えてあげる。あんたたち、『アンラッキーセブン』に変えなさい。私たち七草戦隊フェアリーズこそ『ラッキーセブン』にふさわしいわ」


続けて私もバトンを振った。目に見えない空気の刃が飛んで、カメムーシの隊長のかぶとが、ボロリと割れた。


「ごめんなさい。もう来ません」


カメムーシ達は逃げ帰っていった。


「初仕事は終わったわ。これで七草戦隊フェアリーズことラッキーセブンの任務終了よ」



七草は、芹、なずな(ぺんぺん草)、五行(母子草)、はこべら(はこべ)、仏の座(田平子(たびらこ))、すずな(蕪(かぶ))、すずしろ(大根)です。



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七草戦隊フェアリーズ【KAC20236】 朝風涼 @suzukaze3

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