アンラッキーなコンビニ店員さん。
秋雨千尋
コンビニ夜勤は七つの大罪と共に
私は
彼氏と別れて、派遣切りに遭って、お先真っ暗! って感じだけど、とりあえず超時給いいコンビニ夜勤バイトを始めてみました。
お客さんが来なくて楽だろうなって思ったのに。
「ここにあるの全部買うよ」
廃棄寸前のお弁当がキレイサッパリ無くなった。フードロスの観点から非常にありがたいけど……これ一人で食べるのかな?
「棚の雑誌、ぜーんぶ俺のね」
大人向けコーナーが空っぽになった。
成人だから問題ないけど、こういうのって男友達と回し読みとかするのかな?
「お姉さん、若くてキレイね……何か特別な化粧品とか使っているのかしら?」
マスクとサングラスに帽子まで被って、夜なのに日焼け対策もバッチリな怪しい女性が現れて、化粧品コーナーを空にした。
「実は一本十万円の秘密の化粧水を使ってるんです。紹介しますので良かったら」
女性は無視して鏡で自分を見始めた。
まあ嘘なんだけどね。
「だるいんで床で寝ていいっすか」
「テイクアウトコーナーをご利用くださーい」
「百円のパンを五個買ったら、一個おまけとか無いですか」
「ありませーん」
「この店はオレ様が貰う事にするわ」
「店長バイトも募集してますんで、まずはお電話くださーい」
「オイ、テイクアウトコーナーの椅子をくっつけて寝んなよ、ぶちのめすぞ!」
「喧嘩はおやめくださーい」
怪しい七人の客が毎晩やってくるのだ。
「ボーショク、唐揚げ弁当はオレ様が頂いたぞ」
「じゃあゴーマンのお茶は貰うよ」
「タイダ、帰んぞ」
「フンドの背中に乗せてよー」
「シキヨク、読み終えたエロ本はメルカリで売るからキレイに使ってください」
「ゴーヨクはケチくさい」
「私はキレイ。シット最強伝説」
一行は嵐のように去っていった。爆買いしてくれるから売り上げはいいみたいだけど、別に嬉しくない。売れようが売れまいが私の時給には関係無いから。手間がかかるだけアンラッキーだ。
アンラッキーなコンビニ店員さん。 秋雨千尋 @akisamechihiro
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