第6話

 あれから、だいぶ日が経った。

 先生は学校を依願退職することとなったらしい。


 私はと言うと、ようやく退院することができ、今日やっと学校へ復帰する。このまま普通に過ごしていると、私は出席日数が足りなくて留年することになるそうだ。補修を頑張れば何とかなると言われたけど、正直勉強を頑張れる自信はない。


 正門へとたどり着くと彼女が待っていた。

 多くの生徒が門を通る中で、私は正門の前で止まってしまう。


「茉里奈」


 彼女はこちらをじっと見つめている。

 相変わらず、紫色にうっ血した顔と飛び出した目玉がグロテスクだ。

 でも今ではそれを怖いなどとは思っていない。


 私に伝えたかったこと。

 それは――。


「学校、頑張るね」


 そう言って笑顔を向ける。

 すると、彼女もこちらに笑顔を向けて、光の粒となって消えていった。


 その日から、彼女の姿を目にしたことは一度もない。



 <完>

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学校の七不思議 ihana @ihana_novel

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