運勢管理局七課は忙しい

ナナシマイ

 まったく、「ラッキーセブン」などと言い出したのはどこのどいつだよ。おかげでこっちは望まぬ激務続きだっての。

「東京地区で突発性連続ラッキー発生。均し対応を頼みます」

「了解」

 観測チームからの要請を受け、俺は東京地区を対象に「セブンスキャン」をかける。

 直後に画面を埋め尽くす検出アイコン。

 アホみたいな人口密度と七密度にうんざりしながら必要数分を適当に選択する。不運適応っと。

「対応完了。チェック願います」

「チェック完了。続いてこちらを――」

 もたらした不運の結果を確認することはない。というかそんな暇はない。次から次へと届くラッキー騒ぎ不均衡の知らせを機械的に捌いていくだけだ。

 ってか俺、ホントに運勢管理局員だよな……? 日本人の運勢の均衡を保つために存在してるはずなのに、七課へ来てから人の不運ばかり扱ってるんだが。悪霊かって。

 八課もそれなりっぽいけど強請ってくるような奴はそんなに多くないらしい。まああれはどっちかっていうと願掛け的だからな。解析チームのデータにため息が出るのもやむなし。この圧倒的ラッキーセブン頼り。

 だいたいラッキーを強請るってなんなんだよ。誰かの幸運の裏には誰かの不運があるって習わなかったのかよ。もはや名前に「七」とかつけてる奴を見ると無性に腹立たしくなるんだが。

「特殊局所的アンラッキーの発生。対象は日本全域、ネットワークに限定。同時発生のラッキーと自動相殺します」

 了解――と応えかけて観測チームがそのまま対応したことに気づく。アンラッキーセブンで物語を書け……? お、おう。もの好きもいるもんだな。


 え? 好きな娘が検出されたら?

 そりゃもちろん選択&不運適応に決まってる。嘆いてるところをすかさずフォローだ。

 ……忙しいんじゃないのかって? うるせえよ、こちとら毎日七の不運をばら撒いてんだ。それくらいの楽しみがなきゃこんな七課の仕事アンラッキー、やってらんねえよ。

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