芝生は常に"青い"

なきり

第1話

芝生は常に"青い"


なんで他人のものが羨ましいのだろう。

自分の幸福より他人の幸福の方が羨ましいのは何故だろう。

この世の中に有限なものは幾つもある。しかし幸福に限界はないだろう。それぞれの幸せ、それぞれの価値観があるのだから。

では、何故他人の幸せを見ると羨ましく、自分が不幸になった気分になってしまうのだろう。


我々は『無料』という言葉に弱い。とても有り難く、努力なくして手に入るなら尚更良い。

しかし、その『無料』を他人がうまく活用していたらどうだろう。

無くして欲しいと思うに違いない。

『麺の大盛り無料、ご飯のおかわり無料、飲み放題』

経営者の多くはこれらは良かれと思ってきっと善意でやっているだろう。

しかし、1杯お代わりできて幸せになる人の横に2杯おかわりしてる人がいたらどうだろう。

きっとその幸せは一瞬で砕け散って、羨ましさと制度のあり方に疑問を抱くだろう。私も私たちもそういう生き物である。

『同じ値段なのになんでなのかと。』

そういって無料をかかげる店は減った。


私たちは自分の持つモノに対して、他人と比べたがる。

幸せ。今手にしてる幸せは尊いのだと気づけない。

『浮気』とはそういったものから生まれるのでないだろうか。

『当たり前』これほど怖いものがあるだろうか。プラスにはならず、マイナスにはなるのだから。

手に入れたものがどんなにずっと欲しかったものだろうと手にしてしまったらそれは当たり前になる。


背の高い彼氏・優しい彼氏を持つと、背も高くないけど緩さのあるいい加減の男に魅力を感じる。

背が低く可愛い女の子を彼女に持つと、自立してる大人の女性に魅力を感じる。


もちろん私もそのうちの1人だ。


『烏合の衆』まさに私たちにぴったりではないか。常に"青く"、周りも"青い"。

私も新しい出会いにはときめきを覚える。新しい何かには夢をみる。


だから私たちはいつまで経っても“ハキダメギク”なのだろう。

”つくし”にもなれず。

"青い"まま。


きっと"赤"にはなれない。

満足という収穫期が早すぎるから。




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