アンラッキー7

ユラカモマ

第1話

 思えば朝から致命的に運がなかった。7年付き合った彼女に振られるわ、昼に行こうと思っていた定食屋は休みだわ、自棄になって天ぷらうどんを大盛3杯食べればお腹を壊すわ…ふんだり蹴ったりだ。こん、と腹立ち紛れに道の石を蹴ればそれは細い路地の方へ飛んでいく。(何かに当たってはしないだろうな)

 蹴った後でなんだが不安になって見に行くとそこにはなんと生の一万円札が落ちていた。

(これはしめたぞ。札だから、猫ババしてもバレないだろう。だいたい落とす方が悪いんだ)

 急激に軽くなった足取りで、友也は大学からパチンコへと足の向きを変えた。


 ジャラララ、景気の良い音の鳴り響く店内だが友也の顔は明るくなかった。なんせ、まったく当たりが来ないのだ。

(クッソ、確率イカれてるだろ)

 2つまでは幾度となくそろう。だが3つ目がどうにもこうにもそろわないのだ。いつもなら一度は合う頃合いを過ぎても当たらないので店に来たときのご機嫌はどこへやら、すっかりイライラしてしまっていた。

(クッソ…)

 ジャランとまた玉を入れる。すっかり残りも少なくなってしまった。これでだめなら今日は止めよう、そう思ったが運命の女神は気まぐれにフィーバーを起こした。

「よしきたっ!」

 ここぞとばかりに玉をつぎ込む。ようやく運が向いてきたのだ、引くわけにはいかない。ジャラララ…景気の良い音が響く響く。けれど一向に当たりが来ない。やはり後1つのところで外してしまう。ジャラララ…ジャラララ…。

(アー…やっぱり今日はダメは日か…)

 せっかくの一万円がパーになってしまった。終わってしまったフィーバータイムに肩を落とす。チャンスが無ければまだダメージも少なかったのに、とぶつぶつ文句を言いながら席を立つと入れ替わるように次の客が座る。その台はハズレだよ、などと親切に教えてやるつもりもなく離れようとするとすぐさま派手な音楽、大当たりだ。

(何なんだよ…)

 友也はもう1度強く蹴りを出した。

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アンラッキー7 ユラカモマ @yura8812

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