アンラッキー×7=超ラッキー!
平 遊
結果オーライ!
「ツイてないなぁ」
ボクはつい、そう口にしていた。
昨日の夜、充電器のコンセントがぬけちゃってたみたいで、スマホのアラームが充電切れで鳴らなくて寝坊してさ。
慌てて走って来たら、駅の階段でコケて、コケた時に掌を擦りむいて血も出ちゃってるし、こんな時に限ってティッシュも絆創膏も無いし。
おまけに転んだ拍子にメガネを踏んで壊してしまったし。
近視且つ乱視だから、ちょっと怖くて立ち止まっていたら、走ってきたおじさんにタックルされて、その弾みでボクの手から鞄が弾き飛ばされて中身が辺りに散らばっちゃったし。
仕方なく、見えづらい目で散らばった持ち物を拾い集めていると。
「はい、これ。先にこれかけたほうがいいよ?」
聞いたことのない声と共に、手渡されたのはメガネ。
そうだ!
ボク、鞄の中に予備のメガネを入れてたんだ!
急いでメガネをかけて、まずはお礼をしなくちゃと相手を確認したボクはー
メチャクチャ可愛い…
「あっ!ここ、怪我してるじゃない!確か絆創膏が…あった。ウエットティッシュで拭いてから貼るね」
テキパキと手も口も動かしながら、彼女はボクの掌をウエットティッシュで綺麗に拭き、仕上げに可愛いイチゴ柄の絆創膏を貼ってくれた。
「うん、コレで大丈夫!あっ、早く行かないと遅刻しちゃう!キミ、3組の
「えっ?そう、だけど」
「私、5組の中瀬まな。実はずっと、キミのこと気になってたんだよね…こんな風に話せるなんて、超ラッキー!」
クシャッと笑う顔がとてもチャーミングだな、なんて思いながら、ボクは思った。
7、という数字には不思議な力があるのかもしれない。
今日ボクは、朝から7つのアンラッキーに見舞われたけど、だからこそボクは彼女、まなちゃんと初めてお話しすることができたんだ。
嬉しそうに話を続けるまなちゃんの笑顔を見ながら、ボクは思わず呟いた。
「ツイてるなぁ、ボクって」
アンラッキー×7=超ラッキー! 平 遊 @taira_yuu
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