アンラッキー7
斉藤一
アンラッキー7
俺は、産まれてこの方運がいいと思ったことが1度も無い。そして、一番嫌いな数字は7だ。俺は、何と7番の子供だ。両親は貧乏だったからか、男手を増やして稼ごうと思ったらしい。だけど、両親は忘れていたのだ。子育てにも金が要るという事を。
その結果、母親は俺が生まれてすぐくらいにどこかへ逃げた。父親は、なんとか金を稼ごうと頑張ったらしいが、体を壊して、俺が3つになる頃には寝たきりになっていたのだ。
長男が、中学を出てすぐに働いて稼いだが、父親の治療費どころか、俺達に飯代すら満足に与えることは出来なかった。長男は、自分の食事を削ってまで兄弟に食べさせていた。
それから、俺は何かあるたびに7という数字を見ると、運の悪い事が起きた。ナンバー7のトラックに轢かれかけたし、知らないやつに殴られたのは7丁目だった。好きな女の子の名前はナナだったが、貧乏を理由に振られた。
それから、父親が病死し、兄弟もどんどん体を壊して亡くなったり、事故で死んだりした。みんなが俺達兄弟の事をアンラッキー7と呼ぶようになった。家族全員が運が悪いせいだろう。
とうとう、兄弟全員が亡くなった。まあ、まともな飯を最後に食ったのはいつだったか覚えてないくらいだし。そして今日、7月7日、俺の誕生日だ。誕生日くらい、自分の好きな飯でも食いたいなと財布を開いた。財布の中身は、丁度777円だった。これじゃあ、レストランどころか、その辺で牛丼を食うのが精一杯だろう。
「はあ、何のために産まれてきたんだか」
最後の飯は、コンビニで済ませる事にした。どうでもいい事に、会計が丁度777円だった。これで本当に1文無しだ。俺は、生まれて初めてデザートを食べた。泣くほどうまかった。
777のナンバーの車を見かけたら、そいつに轢かれて死のう。そう思って居たら、そのナンバーの車はすぐに通りかかった。こういう時だけ……。
アンラッキー7 斉藤一 @majiku77
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