幸運の『7』と、失われた『七』

夢神 蒼茫

幸運の『7』と、失われた『七』

 『7』とは、良い意味で見られる。


 スロットの図柄も、大当たりは『7』を当てているのが、その良い例だろう。


 『7』が縁起の良い数字とされるのは、欧米の文化が浸透したことに起因する。


 欧米の文化、精神の根幹には必ずと言っていいほどキリスト教が関わってくる。


 聖書曰く、「神は7日で世界を作った」のだそうだ。


 ゆえにキリスト教圏では『7』は神聖にして、完全な数字として扱われている。


 逆に、不吉を意味する数字もある。


 『6』や『13』がそれだ。


 『6』は邪悪な悪魔の数字とされ、魔王サタンを意味するのだとか。


 また『13』も不吉で、神の子が『13』日の金曜日の処刑されたからだ。


 しかし、国や文化が変われば、そうした縁起もまた変わる。


 同じキリスト教圏でさえ、イタリアは『13』を好んだりする。


 イタリアのトトカルチョでは、サッカーの『13』試合の結果を予想する。


 『13』試合の予想すべて当てれば、見事1等賞だ。


 逆にイタリアでは『17』が嫌われている。


 キリスト教圏では好まれる『7』が含まれるのに、なぜなのか。


 それは『17』をローマ数字で表すと『XVII』。


 これを並べ替えると、『XIVI』となる。


 意味は『私は生きた』となり、過去形ゆえに『私は死んでいる』に置き換わる。


 こじ付けとも思えるだろうが、縁起物などは語呂合わせなどが良く見られる。


 要するに、受ける側の気分次第とも言えよう。


 では、アジア圏はどうだろうか。


 日本や中国では『八』が縁起が良く、『四』が不吉とされる。


 中国では『パァー』は『ファー』と発音が似ている。


 『ファー』は発展や富貴を意味しており、ゆえに中国人は『八』に非常に拘る。


 なにかしらの式典は『八』のつく日に執り行うことが多い。


 また、車のナンバーも『八』のゾロ目で揃えたがり、高額での取引もあるのだ。


 日本においては『八』は末広がりの象徴であり、これもよく用いられる。


 『八』百屋、『八』百万の神、手『八』丁・口『八』丁、という具合だ。


 また『』は『』と同音であり、日本も中国も忌避する傾向にある。


 ホテルの部屋番号で、下一桁で『四』を飛ばす所が未だに存在する。


 そうした同音の忌避では、『九』もそうだ。


 『』は『』と同音であり、これも避けられる傾向にある。


 しかし、中国では逆に『チュー』が好まれる。


 『チュー』は永遠を意味する『チュー』と同音だからだ。


 また、『チュー』は最上位の数字として、皇帝だけが使うことを許されていた。


 最高の栄誉とされる、『九』錫の礼などがまさにそれだ。


 このように、同じ漢字圏も発音の差で、縁起の良し悪しが変わってしまう。


 ベトナムでは『七』が縁起が悪いとされる。


 漢越語において、『七』と『失』は同音であるからだ。


 失う事は、良くない事というわけだ。


 欧米の『7』とベトナムの『七』。


 数字としては同じでも、受け取り方で真逆となるのだ。


 幸運の『7』であり、失運の『七』ともなる。


 なんとも興味深い一事である。



                  ~ 終 ~

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