あなたの今日の運勢は!

砂漠の使徒

テレビの占いコーナーを見ていたら

「みずがめ座のあなた!」


「お?」


 朝ごはんをボーっと食べながら新聞を読んでいたら、なんとなくつけていたラジオで占いコーナーらしきものが始まった。

 しかも、ちょうど俺の生まれであるみずがめ座から紹介されている。

 もしかして、一位だったりする?


「とにかくアンラッキー7な一日です! ラッキーアイテムは和菓子!」


「……は?」


 アンラッキー7……って?

 なんだよそれ。

 そんな言葉聞いたことねぇよ。

 てか、説明それだけ?

 順位すらも教えてくれないの?


 困惑しながらラジオを睨むが、他の星座の説明に移ってしまいなにもわからずじまいだ。


「……」


 アンラッキー7ってことは、アンラッキーなんだよな。

 てことは、不幸なことが起きるんだよな。


「和菓子……って、言ってたな」


 ラッキーアイテムは。

 普段は気にしないが、なんだか嫌な予感がした。


「和菓子屋……行ってみるか?」


 というわけで、俺は会社に着く前に今日のおやつとして和菓子を買いに行くことにした。


 しかし、ここからが苦難の連続だった。


「あっ!」


 朝食の食器を片付けていたら、お気に入りのマグカップを落として割ってしまう。


「えっ!」


 車で走っていたら、鳥の糞がフロントガラスに落ちて来た。


「ええ~?」


 いつもの道は工事中で大幅に遠回り。


「やべっ!」


 今日のミーティングの資料、家に忘れて来た!


「はぁ~~~……」


 こんな感じで不幸続き。

 アンラッキー7とでもいうくらいだから、7回不幸なことが起きるんですかね?

 つまり、残るは3回?

 願わくば起きてほしくないものだが……。

 なーんて考えていると、ようやく和菓子屋に着いた。


「こんにちはー」


 遅刻ギリギリだが、次なる不幸を招かないためにも早く和菓子を。

 俺は自動ドアをくぐり、お気に入りのどら焼きを手に取……。


「おめでとうございま~~~す!!!」


「はえ?」


 突然大きな音がして、目の前にカラフルな紙が飛び散った。

 なになに、これ?


「当店の777人目のお客様です!!!」


「あ、あ~……」


 そういうやつか。

 びっくりした。


「ラッキーなあなたに当店自慢のあんを使用した7種のお菓子をプレゼントです!」


 俺は店員さんから、豪華な装飾が施された紙袋を受け取る。

 まさかこんないいことがあるとはな。

 案外今日はラッキーデイなのでは?


「餡、ラッキー7にちなんで7種類用意しましたのでお楽しみくださいね!」


「ありがとうございま……あ」


 ……これが本当の餡ラッキー7ってこと?


(了)

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