奈々は7がキライ

ろくまる

奈々は7がキライ

 奈々は「7」が嫌いである。

 7歳の頃に出会った幼馴染は意地悪で、7月までには痩せなきゃという焦りがあって、一週間は7日じゃ足りないと常思っている。

 なにより、7があるとイジられるのがうざったいのだ。


「よう、さん」


 まただよ。と思ってにやにや笑いながら言った男子、弘樹を無視して奈々は家へ向かう。ちなみにその背番号は今日の体育で渡されたゼッケンだ。いや、イジってくるクラスメイトに押し付けられた、が正しい。

 ラッキーセブンがなんだ馬鹿野郎。それで人生全てイジられてる方の身になりやがれ。そんな事を思いつつ、断りきれなかったのは奈々である。


「んだよ、無視すんなよ。そんなんだから可愛い女子ランキング7位なんだよ」


 また7だ。いい加減にして欲しい。というかなんだその全校女子敵に回したランキング。奈々はため息をつきながら走り出した。

 ──中学2年生の子供というのは「中二病」なんて言葉が作られたりする程度には多感なのだが、当人達には分からない。奈々もそのひとりだが被害者だろう。

 しかしそんな奈々には、今日だけ違う事があるのだ。


「──真司お兄ちゃん!」


 叔父の再婚相手の連れ子の従兄弟、真司が遊びに来ていた。真司は21歳なので奈々の7つ上、いつも勉強を教えたりゲームで遊んでくれる優しい兄のような存在。

 知っている異性の同年代がほぼからかってくる奈々にとってほんの少し憧れを抱く相手。


「奈々、お帰り。叔母さんは買い物行ってるよ」

「真司お兄ちゃんは? 付き合えって言われなかったの?」

「奈々がもうすぐ帰ってくるかもしれないし、買うもの少ないから大丈夫って言われたよ。ほら、手を洗っておいで。今日はバレンタインのお返しのお菓子あるから」


 それを聞いた奈々は慌てて手洗いうがいをして、着替えた。真司はクスクス笑いながらマカロンを用意するのだった。

 ──もちろん、個数は8つ。

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