第11話 大人気になりました。

 私と共にライブ映像を見た人々は、聖女パーティーが遭遇したモンスターパニック事件について物議を呼んだ。別に私は一度も彼らを責めてはいない。

 疑いをかけるような物言いをしたかもしれないけど、それでも彼らを悪いとは一言も言わなかった。


 だけど、人は言われないからこそ推測してしまうものだ。


 本当にモンスターパニックはあったのか?

 聖女たちの装備はどうしてあんなにも綺麗だったのか?


 聖女一行が撮った映像は本物? 偽物? ライブ配信は嘘をつけないと配信会社からの発表に、どうして聖女一行のカメラにはモンスターパニックの映像が映されておらず音声だけなのか?


「ニシシ。やったね」

「いや〜これぞ炎上商法だよね」

「人が注目を集めるためなら、いいんじゃない?」

「アクゼの強さを知っていたけど、まさか聖女を利用して視聴者を増やしちゃうなんてね」

「あのライブ映像のおかげで、私のやることは注目を集めてるからね」


 そう、別に私は彼らを責めていない。

 むしろ、心配して真実を伝えただけに過ぎない。

 それでも憶測や推測は人にとって、甘い蜜のように群がって見たくなる。


 実際に、彼らレベルだか装備に傷がないと擁護する人もいる。

 確かもモンスターとは戦ったのかもしれない。

 だけど、絶対にモンスターパニックではないと確信が持てる。

 

 私は一人でモンスターパニックに遭遇したことがあるからだ。

 その時の現象と、彼らの現象は大きな乖離がある。


 まず、モンスターパニックが起きるの二つの原因が存在する。

 一つ、トラップ型で部屋に入った際に罠として発動するモンスタートラップだ。今回の聖女様はこっちに当たるはずだけど、密閉された空間でもなく、モンスターを全員倒すか、冒険者が全員死ぬまで出ることはできない。

 それを考えると、彼らが全員外に出て元気な姿をあの短時間では無理があるのだ。


 もう一つは、ダンジョンから溢れるほどのモンスターが溢れるモンスターパニックだが、こっちであればもっと危険で彼らだけで解決できるはずがない。

 

 私は、彼らが演出でモンスターパニックを装ったことを攻めるつもりはない。

 変わりに私に注目を集める踏み台になってもらっただけだ。

 もちろん、相手から抗議をしてくるのであれば、私は全力で戦うために、彼らが嘘をついている証拠映像はいくつか残して帰ってきた。


 それをわかっているからか、彼らから訴えられることはなかった。


 まぁそれどころでは無い状態ではあると思うけど、藪を突くバカはいないらしい。


「まず、始めにいっておくけど。私は遠慮とかしないから、聞きたくないならどっか言ってね。それでもいいなら残って聞けば。あっ、あとキモい奴は即ブロックするから、ここでは私が神。わかった? それじゃアクゼの毒舌配信していくよ〜 今日のお便りは、えっ? あなたがした行為で困っている人がいますどうsるんですか? へぇ〜面白い挑戦状だね。それじゃ答えてあげるよ」


 珍しく女性とわかるアカウントに文章内容に、私は一人の人物が顔に浮かんでくる。私の視聴者を増やしてくれた方だからね。ありがたく答えてあげるよ。


「まずはね、それが嘘じゃ無いなら、誇っていればいいんじゃない? だって、凄いことをしたんでしょ? 動画でも行ったけど、私は一度も彼らが悪いなんて言ってないから。ただ、疑問点を挙げただけ。もちろん、火の無いところに煙は立たないから、真実かどうかは、その場を経験した本人たちが一番わかるんじゃ無い?」


 コメント欄は好き勝手にコメントが書かれていく。

 反論していたり、私に賛同したり、一万人以上の視聴者が、あれやこれやと議論する。彼らは、結局憶測を語るしかない。


「この投稿して来た人が、誰を指して色々な人が迷惑をしているって言うなら、その人たちは嘘じゃない証明をしないといけない。嘘じゃない証明をして、堂々と自分達は素晴らしい功績を上げたと言えばいい。嘘はいつか歪みを作って、あなた自身をダメにするよ」


 私は、今回の動画のおかげでたくさんの恩恵を受けた。

 モンスターを倒す初心者用のモンスターの倒し方動画や、これまでのライブ配信を見返してくれる人が増えた。

 

 一つの100万アクセスは、私を人気配信者へと押し上げてくれた。


 だからって自分のスタイルを変えるつもりはない。

 正しいかどうかなんて関係ない。


「ここでは私が神なんだから、好き勝手言うよ」


 それが嫌なら私の動画を止めればいいだけ。


「それでも目が離せないなら、あなたの心に引っ掛かる物があるからじゃない? あなたは嘘をついてないって誇って言えるの? 私は言えるよ。嘘は一つもない。堂々と戦ってやろうじゃん!」


 視聴者に向けて拳を向ける。


 人気が集まるってことは、それだけ影響力が強くなる。

 だから、私は私を曲げない。

 自分がしていることを正しいと思わないと、絶対に一つに言っちゃダメだと思うから。


「それでも言いたいならいくらでも言ってきなよ。全部あなたの言葉にアクゼが答えてあげるから」


 私はこうして人気配信者になった。


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毒舌配信者はなぜ人気になった? イコ @fhail

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