終わらない777
鹿嶋 雲丹
第1話 終わらない777
「えっ、嘘でしょ……また777?」
閉店一時間前の、とあるスーパーにあるゲームコーナー。
暇を持て余した私は、預けてあるメダルを引き出して、お気に入りのメダルゲームに興じていた。
回るスロット、外れたり当たったり。
その度に、悔しくなったり、次こそは! とワクワクしたりする。
そして獲得したメダル大量ゲットのチャンス。
ジャックポットチャレンジ、というやつだ。
それは、デジタルの数字が777になってやっと訪れる滅多にないチャンス。
そう。滅多にないはずの。
ところが、もう何回も連続で777が出ている。
最初は単純に喜んでいた。
だが、機械のストックメダルがなくなる度に、店員さんに声を掛けに行かなければならかった。
いくら店員さんが暇そうだからといっても、何度も行っていると、さすがに気まずくなってくる。
「あの、これ、壊れてるんじゃないですか?」
3度目のメダル補充の際、私は勇気を振り絞って店員さんに聞いてみた。
「大丈夫ですよ、どうぞ!」
だが店員さんはにこやかに鍵をかけると、すぐにいなくなった。
終わるジャックポットチャレンジ、そして再び始まるジャックポットチャレンジ。
これが、延々と終わらない。
ずっと777。777以外の組み合わせがないのかというくらい、ただひたすら777が出る。
「早く閉店時間にならないかな……」
獲得したメダルはとうに山になっていて、金属でできているメダルはかなりの重さになるだろう。
重いのやだな……しかも、一度じゃ運びきれないよ……この量……
私は深いため息を吐いた。
目の前では、相変わらずフィーバー状態が続いている。
もう、777はいらないよ……
憂鬱と恐怖感で動けない私の耳に、閉店を知らせる音楽が聞こえてきた。
やった……これで解放される……
店員さんがやってきて、笑っている。
私も引きつった笑みを浮かべながら、ようやくほっと安堵のため息を吐いたのだった。
終わらない777 鹿嶋 雲丹 @uni888
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