KAC20236 観に行く映画は決まりました

観に行く映画は決まりました

「ご、ごめんね！　河上君！」

「いや、ボクの方こそ、普段鍛えてるとか言っておきながら、その、ごめん」

「ん～ん！　誰だって不意をつかれたらこうなっちゃうって！　ってゆーか！　みゃーこのせいだし！」

　問題を起こした猫のみゃーこは、

「ミャーミャー」

　と鳴きながら河上君の足をポンポンしてお遊びの催促。

　まるで何事もなかったかのようにふるまっている。

　河上君も、釣られる形でお遊びに付き合っているが……

　私達の間には、とっても微妙な空気が流れていた。

　だって、私達まだ付き合ってるわけじゃないし。

　キスとかって、きちんと段階をふんでからするものだと思ってたし。

　なんか色々と飛び越えちゃった感がすごいし。

　でも、事故とは言え、私達の唇は触れ合っちゃったわけで……

　私的には、嬉しかったけど。

「えと、河上君？　その、私となんかでよかったのかな？」

「あ、うん。ビックリはしたけど。どちらかと言えば、ラッキーだったかなって」

　真っ赤な顔をしながら頬をかく河上君。

　どうやら、私に対し好意を持ってくれているのは本当みたいだ。

　なんか嬉しいかも。

　もう、いいだろう。

　勢い任せではあるが！

「じゃ、じゃぁ、今度、観に行く映画は恋愛ものでいいかな？」

「うん。いいよ。ちなみにタイトルとかって分かる？」

「うん。アンラッキー７っていってね。ヒロインがいくつかの試練を乗り越えて好きな人と結ばれる話みたい」

「タイトルからすると７つの試練を乗り越えるって感じなのかな？」

「たぶんそうだと思うんだけど、レビューとかは見ないようにしておくね」

「そうだね、ネタバレしちゃったら楽しめないだろうしね」

　笑みを浮かべる河上君の顔は、あいかわらず真っ赤なままで。

　もちろん、私も真っ赤なままだろう。

　はたして、この映画を見に行くのは私達にとってラッキーな展開になるのか？

　それとも、アンラッキーな展開になるのか？

　それは、誰にも分からない。

　おしまい