アンラッキーのナナ
北きつね
全部、ナナが悪いの?
今日も、学校で”いじめ”られたと、少女が泣いている。
少女を慰めるのは、施設の職員や兄や姉だけではない。少女が抱きしめているぬいぐるみも慰める役割を持っている。涙で重くなったぬいぐるみを見るたびに、職員は少女が何をしたのかと”問いたい”気持ちになっている。
「ねぇ筋肉。ナナは、そんなにダメなの?」
ダメじゃないと答えるのは簡単だ。その簡単な答えが言葉にならない。
「ナナが全部、パパとママが死んじゃったのも、ペロが死んだのも、全部ナナが悪いの?」
「違う。ナナは、悪くない!」
少女が泣きそうな表情を職員に向ける。
「だって、先生が・・・。ナナがしっかりしないからだって・・・。全部、ナナが悪いから・・・」
言葉を詰まらせる。両親が目の前で死んでしまった姿を思い出した。
”ゲームソフトが欲しい”という理由で、両親は殺された。万引きを注意して殴られ、ナイフで刺された。
「ナナ」
少女の問いかけは、誰かに向かって聞いているわけではない。少女は、自分が”
少女をイジメている子供たちが、金持ちの子供でラッキーと口癖のように言っているのを聞いて、自分が”
「パパとママは、間違っていない?」
「そうだ」
今日もぬいぐるみを抱きしめて眠っている。
「手を痛めますよ」
「・・・。なぜ、ナナなのでしょうか?」
耳に届いたはずの呟きには沈黙だけが返された。誰にも答えられない。
少女が今まで味わった
ぬいぐるみを抱きしめながら眠る部屋には、両親から貰った名前を示す「
アンラッキーのナナ 北きつね @mnabe0709
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます