無敵の7人
金澤流都
ぜんぜん無敵じゃない7人
やはり、冒険者パーティの適切な人数は、4人か5人くらいだと俺は思った。なぜかというと、いま俺を含めて7人の「もっさり団」は、目下次にやることで揉めているからである。
これからゴブリンの宝物庫を確認するべきだと主張するやつが2人、それよりゴブリンの耳を切り落としてギルドへの討伐完了の証を用意すべきだというのが2人。疲れたからとりあえずティータイムにしようと言い張るのが2人。どれにすべきか悩むリーダー俺1人。
これ、4人とかだったらもっと選択肢が少なくて全員納得する意見に辿り着けるのでは……と思うのだが、まあ7人でゴブリンの巣穴に踏み込むことを決定した俺が悪いので、仕方なく悩んでいる。そんな感じだ。
「で、どうすんだリーダーさん。宝物庫だろ?」
「いーえ、ゴブリンの耳が先ですよね、リーダー!」
「いやいや、あたしゃ魔法の撃ちすぎで疲れたわ。茶ぁしばこうじゃないのリーダー」
こういう無駄な人望がつらい。俺は口をもごもごして、
「……ええと」と呟く。
「あんたがしゃっきりせんとなんも決まらんぞ。どうする?」
ドワーフの戦士に背中をド突かれた。痛い。
「……班別行動は?」
俺が提案した意見に、みんな「はあ?」という顔をした。ええそうなるでしょうとも、すでに討伐済みとはいえ、敵地のまん真ん中で散開するのは危険だからだ。
「ほ、ほら、せっかく7人いるわけだし、各々やりたいことを……ダメですよねすみません」
一同が呆れ顔で俺を観ている。俺は胃が痛い。
そのときだった。天井から巨石が転がって落ちてきたのである!
「うわあああ!」
「ほら宝物庫も討伐証明も取り損ねたじゃないですかー!」
俺たちはゴブリンの巣穴を飛び出した。完全に失敗である。宝物庫のお宝も、討伐証明のゴブリンの耳も手に入れ損ねたのだから。
「もっさり団」、またの名を「アンラッキー7」。彼らはきょうも素寒貧なのであった。
無敵の7人 金澤流都 @kanezya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます