06:アンラッキー7とラッキー7

矢木羽研(やきうけん)

テーマ「アンラッキー7」

 夕暮れには少し早いという時間帯。僕は街道に車を走らせていると、海岸まで7kmという案内板が目に入った。よく通る道だが、そういえばここで曲がったことはない。試しに通ってみるのも面白いかも知れないと思い、僕は海を目指すことにした。


 海まで下る道には7つの信号があった。なぜ数を覚えているのかと言えば、その全てが赤信号になって足止めされたからである。しかも最後の信号では直進道路が工事中で、右折して70メートル先に迂回させられた。さらに道路を歩いていた7人の子供たちを避けようとしたら、前方のカーブの死角から猛スピードで突っ込んできた対向車(ナンバーは7777だった)にぶつかりそうになってしまった。


 ようやく海についた。夏場は海水浴客で賑わっているであろう駐車場には、今は一台の車もない。ここに止めて外に出ようとしたら、にわか雨が降ってきた。確かに夕方の降水率は70%と出ていたが、先ほどまでは晴れていた空である。なぜここで降るのかなぁと、間の悪さに車の中で毒づいてしまった。


 さて、ここまで6回「7」にまつわる出来事があった。きっともう一度あるだろう。最後の7はラッキーセブンか、それともアンラッキーセブンか。


 雨が上り、車を出て砂浜に向かう。雨雲は海の上の東の空に流れ、西日が海を照らしている。そこで僕が見たものは、水平線にかかる七色の虹であった。外側にはうっすらと副虹まで現れている。


「虹は太陽の反対側に出るんだ。だから探す時は太陽を背中にするんだよ」


 小さい頃、学校の先生が教えてくれたことを思い出す。あの頃は夕方に雨が降るたびに虹を探していたっけ。今ではすっかり忘れてしまっていた。こんなに見事な虹を見るのは何年ぶりのことだろう。


 僕は虹が消えるまで見ていた。気がつくと涙で頬が濡れていた。僕はそれを拭って車へと戻る。休日の小旅行はもうすぐ終わろうとしている。

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