アンティークショップ


堆積した人の人生。自分とは違う年代を生きた証。


埃っぽい空気が、私が通る度に、止まっていた時間を動かすかのように舞い上がる。


レイアウトなんかなにも考えられてない、雑然、雑多、玉石混交。


棚には国も慣習も生活も何もかも私とかけ離れた人に握られた布が無造作におかれている。とうになくなった窯で作られた皿。今では作ることのできない技術の結晶であるガラス。誰にでも描けそうな絵。やたら豪奢な額縁。瀟洒なランプ。


1つ1つの匂いが違う。粉っぽいような、放置したコーヒーのような、木陰に涼む丈の低い草のような。


手に取るとやたら重い。削るところのない、そのモノ自体の重さ。人に使われ、転々と旅して歩き海を越えてきたモノの命。



重厚な扉を開けば、そこにある。


堆積した人の人生。自分とは違う年代を生きた証。

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