良い子の筋肉神話

余記

魔王?そんな事より筋肉だ!

むかしむかし、人々は平和に暮らしていました。

しかしある時、魔王という災厄が訪れたのです。

魔王の軍勢は人々の街を容赦無く攻め滅ぼしていきました。


魔王の軍勢に手も足も出なかった人々は神様に祈りました。

その結果、神様はひとりの勇者様きんにくを遣わされたのです。

という能力ギフトと共に。



ふんっ!ふんっ!ふんっ!

勇者様は、元気に筋トレをしていました。

「勇者様。どうか、魔王の軍勢を蹴散らして平和を取り戻していただけませんでしょうか?」

「いや、村長よ。まだ、トレーニングが足りないと思うのだ」

この世界に降臨された勇者様は辺境の村に住んでいました。

そして毎日、額に汗して筋トレする生活をしていたのです。

「それより村長。どうだ?この筋肉は?」

アブドミナル・アンド・サイ!

ポーズをとると、引き締まる勇者様の筋肉!

肩にメロン載せてんのかい!

どこからともなく掛け声がかかりました。



ふんっ!ふんっ!ふんっ!

今日も勇者様は元気に筋トレをしています。

「勇者様。そろそろトレーニングは十分ではないでしょうか?」

「いや、まだ、トレーニングが足りないと思うのだ」

勇者様に与えられた能力ギフトは、

「ゆえに神様のご期待に沿う為にも」

ふんっ!!

「筋肉を鍛えねばならない!」

勇者様きんにくは今日も脳筋きんにくでした。

「それより村長。どうだ?この筋肉は?」

ポーズをとると、引き締まる勇者様の筋肉!

フロント・ダブル・バイ・セップス!

肩にスイカ載せてんのかい!



ふんっ!ふんっ!ふんっ!

今日も勇者様は元気に筋トレをしています。

「勇者様。魔王がこの村に攻めてきます!」

その言葉に、勇者様は悠然とポーズを決めます。

モスト・マスキュラー!

肩に地球載せてんのかい!



その日、人々は今まで住んでいた星を捨て、新たな地勇者様の力瘤へと移住しました。




「という訳でね坊や、私たちは勇者様の筋肉の上で暮らしているのよ」

「ウソだーっ!」

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良い子の筋肉神話 余記 @yookee

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