第5話
野原に散らばるゴブリンのむくろ、その数八十頭あまり。
これほどの数が森に潜伏していたとは――。
戦闘を終えて、その場のみなは安堵と恐怖の混ざった息をついた。
「結果オーライ、ね!!」
冒険者に依頼していていたら莫大な費用がかかっただろう。もしくは村は奇襲に合っていただろう。
それを今回の件で片付けることができた。巣を冒険者に確認してもらう必要はあるが、これならば安価で済むはずだ。
えっへんと胸を張るケイトに、トーマスはゴン、と拳を落とした。
「いぃった~~~~いッ!! レディにひどいッ!!」
「おまえは無茶をしすぎた……!!」
いつも淡々としているトーマスの怒りに、ケイトは涙目になって見上げた。
「……トーマスが心配してくれてる……」
一切反省の色が無い様子に、トーマスはもううんざりしてしまって眉間を揉んだ。自分にはどうしようもない。
ケイトの父が「ウチの娘が本当にすみません!」としきりに頭を下げてくるが、この子供は誰の手にも余るだろう。
後日、村の蓄えを増やしておこうとトーマスが提案し、村人たちは了承してくれたのだった。
おわり
どたばた少女と冷静な男の、辺境の村冒険録 辻(仮) @spring_fields
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