バス
柴田航輝
第1話
時間の間隔は全てが虚(うつろ)だった。
ふと死にたくなったのだ。確信めいた歩みで進む傍ら、今しがた真横を走り去ったのは私が乗るべきだったバスだ。あれに乗ってはいけなかったはずだ。それとも乗るべきだったのか。きっと乗客は口々に私を嘲っているだろう。
今までこの2本の足だけを信じて歩いた。酷く歪(いびつ)に曲がりくねった足取りで、それでも私は、自身の肉体と精神だけを頼りに進んできたはずだ。だからあんなバスは嘘だ。先程のバス停なども存在しない。
この先幾つバス停に出逢おうと私はそれを全て無かったことにしなければない。
それを未来、何度悔いるだろうか?
ああ、今は考えたくもない。
バス 柴田航輝 @abiabidx0
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