筋肉2分半クッキング「マッスルカレー」

第5話

「センセイ今日は何を作りましょう」

「暖かくなってきましたので、今日はマッスルカレーを作ります」

「マッスルカレーとは何でしょう」

「まずは野菜を用意します」

「説明はしないんですね」

「ニンジンはこう握って」

「皮はむかないんですか」

「ヌンッ」

「握りつぶした」

「これは前腕に効きます」

「筋トレも兼ねているんですね」

「ジャガイモも同じように握って」

「新芽は取った方がいいんじゃ」

「ヌンッ」

「取らないんですね」

「タマネギもヌンッ」

「これは切るのと違って、涙が出ないからいいですね」

「イエ涙は出ます」

「出るんかい」

「お肉は鶏のささみを使います」

「高タンパクで低脂肪ですね」

「ヌンッ」

「ひき肉になりました」

「材料を鍋で炒めます」

「やっと料理番組っぽくなってきましたね」

「ここにプロテインの粉末を」

「えっ」

「ヤーッ」

「一袋ぜんぶ入れた」

「これは上腕に効きます」

「そういう問題ではないと思いますが」

「お好みでカレー粉を加えますと、よりカレーっぽい仕上がりになります」

「むしろ加えない理由がわかりません」

「材料に火が通ったら、水を足して煮こみます」

「水分がなかったらパサパサで食べづらそうですね」

「よくかき混ぜて、とろみが出てきたら完成です」

「色を無視すれば、見た目はなんとなくカレーっぽいですね」

「両手で鍋をこう持って」

「熱いから気をつけてください」

「ヤーッ」

「あああっ。なんてことを」

「これは背中と腰回りに効きます」

「腰はどうでもいいんですよ。あんたコンプラ知らないんですか」

「床にぶちまけたカレーは、後でスタッフがおいしくいただきます」

「そういうことは、前もって相談してからやってください。床に落ちたものなんか食べたら、スタッフがおなかを壊すでしょう」

「筋トレしていれば大丈夫」

「胃袋は筋肉じゃねえんだよ」

「今日のクッキングはここまで。皆さんまた明日」

「打ち切り決定だよ」