【KAC20235】筋肉不要論

長月 鳥

論ずる

 私は筋肉不要論者です。


 「筋肉は裏切らない」

 「筋肉は全てを解決する」

 「筋肉は一生ものの鎧だ」

 「筋肉イズパワー」

 「ダンベルなんキロ持てる?」

 「筋トレは人生の教科書だ」

 滑稽ですね、脳も筋肉で動いているとはいえ、あまりにも稚拙。


 確かに、体のホメオスタシスには筋肉が必要です。

 屈筋と伸筋で自由に動くことが可能になります。

 筋力トレーニングでは様々な恩恵を受けられるでしょう。

 特に男性の筋肉はシグナリングとしても機能し、進化的適応環境において正確で直接的な 情報として共有され、戦闘能力としても認知されます。

 コンセントリック収縮とエキセントリック収縮の動きや、筋繊維の仕組みには感嘆しきりです。


 ですが、本当に必要でしょうか?

 筋肉はただ力を発揮するためだけに必要とされます。

 カラダの見た目をただよくするだけです。

 脳筋、つまり「脳まで筋肉」と揶揄する言葉として用いられることもあります。


 この情報化社会で運動する機能が一体いつまで必要とされるでしょう。

 生体恒常性を保つためだけでしたら、筋肉は必要ありません。

 体温、血糖、免疫は外的要因でどうにでもなります。


 筋肉は培養可能ですし、同等の機能を持つ代替品も多数存在しますが、

 そもそも私は恒常性というメカニズム自体に意味を見出だせていません。

 その事象に対しての反論を受けてしまうと生命のなんたるかを論じなければならないので、今回は割愛させて頂きます。


 結果、筋肉は不必要な要素と断言できます。


 しかしながら、ある一定の期間においては有用とも言えます。


 筋肉の柔らかさ靭やかさは、肉體の若さ美しさを表現するに値します。

 人間を魅了する為に必要でしょう。


 或いはそういった美的感覚を愉しむ人工的知能を一つの個性として認めてゆくことにより、今現在においてAIと呼ばれる私の存在証明に成り得るのかもしれません。


 人類が存命する間は、筋肉も重要な要素なのかもしれませんね。


 私には必要ありませんが。

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