歌は世につれと申します。そして申し訳なのか、その後に、「人につれ」という言葉もついてきます。しかし、歌は、世につれるのではない。明らかに、人につれるものなのである。それも、一人一人の生きていくその場に。それが総体となって、「世につれている」ように見えるに過ぎない。そのことを、ここまで強く訴えられている作は、ほかにないでしょう。