暖かい映画館で、彼女とホラー映画を観る。
ちょっと悩んだんですけど、二人のイチャコラを書き続けることにしました。応援してくれると嬉しいです(o^^o)
*
「日和ちゃん本当に観るの?まだ引き返せるよ…?」
「いやもうチケット買ったじゃないですか。観ましょうよ」
「ええ…なんでルーレットでジャンル決めちゃったんだろう私…」
ついさっきまで私たちは先輩の部屋でだらけていたのだが、せっかくの休日なので何かしたいなと思い映画館に来ている。
映画ジャンルは道中でルーレットを回して決めた。先輩が。
「さあ行きますよ。8番シアターのK-12と13ですね」
「いやぁ…」
駄々をこねる先輩の手を引いて入場して行く。
「日和ちゃん!暗い!怖い!」
「いやそりゃシアター内ですから…そんな苦手ですか?」
先輩が怖がってる姿は面白そうだから観てみたかったが、こんなに嫌がっていると少し申し訳なくなってくる。
「苦手!!」
「…あの、ここまで引きずってきておいてなんですけど、出てもいいですよ?」
「それは申し訳ないから嫌!」
「でも私は——」
「それに、日和ちゃんと恋人になってから出かけるの、初めてだし…」
繋がったままの手を見つめながら、細々とした声で言う先輩に不覚にも胸が高鳴る。
「わ、わかりました…じゃあ観ましょう!」
「う、うん…」
◆
「きゃ…!うぅ…」
「あの先輩、悲鳴を抑えるのはいいんですけど、どこを鷲掴みにしているんですか」
先輩の細い腕は私の胸に伸びている。
私の胸に、伸びている。
いやなんで?むしろ私の方が悲鳴をあげたい。
ぶっちゃけ映画の中身が入ってこない。
「ここが落ち着くの…」
「うーん…まあいいんですけ…いやダメでしょ。手にしてください手に」
「はい…」
割と真剣に弱っているようで、特に何も言うことなく素直に手を握ってくれる。
ここおどかし要素入ってきそうだなー、なんて思ったが、周りに人がほとんどいないとはいえさっきから喋りすぎているので黙っておく。
おーやっぱり来た。
「っ!」
先輩が全力で悲鳴を我慢しているって痛い痛い痛い!
握られている手に凄い力が加わってくる。
「先輩ちょっと力緩めてください」
「ご、ごめん。…もういやぁ」
どうしよう…先輩がめちゃくちゃ可愛い。
前までは常に凛々しいというか、余裕たっぷりな態度だったのにここ最近はただただ可愛い女の子である。
どっちの先輩も好きだが、この様子の先輩を知ってる人はほとんどいないだろうなんて考えると胸が満たされる。
…私は独占欲が割と強いのかもしれない。
涙目の先輩の顔を眺めていると先輩と目が合う。
ああ、いよいよ涙が頬を伝ってきた。
…可愛い。
手を先輩の顔に添えて親指で涙を拭う。
眉尻を下げ、上目遣いで私を見る先輩から目を離せない。
気づいたら、映画が終わっていた。
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