肌寒い彼女の部屋で、耳を舐めさせられる。
晴れて先輩と恋人同士になった翌日。私は蒸れるような暑さで目を覚ます。
本格的な寒さがやってきたので昨晩暖房をつけたのと、それとまあ…はい。運動していたので。
…現在時刻は12時を回っている。
どうやらこんな時間まで下着姿のまま先輩と添い寝していたらしい。先輩なんて真っ裸である。
いや、先輩が朝っぱらからお盛んなのが悪いんです。えへへ。
「んぅ…日和ちゃん起きるのー?」
私が体を起こしてので先輩の目も覚めたらしい。
「今から大学行けば三限からには間に合うので」
「えっ大学行くの」
「行きますよそりゃあ」
「私もう完全にサボる気なんだけど」
「えー…先輩行かないんですか」
「さっき言ったけど一日くらいサボっても別に問題ないしねえ…日和ちゃんなんてほとんど講義出てるでしょ。今日くらいサボろ?ね?」
後輩まで一緒にサボらせようとしてくるのは先輩としてどうなのだろうか。
「先輩そのお誘いはあんまり良くないと思いますけど」
「ごめんなさい…」
うっ、そんな顔を俯かせてしゅんとしても私は大学に——
「…まあでも一日くらいなら先輩とゆっくりするのもいいかもしれません」
誘惑に負けた。どうか笑ってほしい。
しかし先輩は喜色満面の様子なので良しとしよう。
「ほんと!?日和ちゃん大好きー」
「はいはい。それじゃあとりあえずお昼ご飯食べましょうか。コンビニで何か買ってきますよ。」
「私も行くから準備しよ」
◆
「ちょっと先輩、その技ずるくないですか。ていうか投げ技なんですから投げてくださいよなんですか埋めるって」
「日和ちゃん世の中にはどうしようもない理不尽もあるんだよ。それを教えてあげようと」
「要りませんからその気遣い」
「これがワニの王の力!!」
「あああ!…また負けた…」
「まだまだだね日和ちゃん。さあ次の罰ゲームは何にしよっかなあー?」
今私は負けたら罰ゲームの格闘ゲームを先輩としている。なんならすでに頭の上には猫耳が生えている。
「じゃあ舐めて。耳」
「は?マジで言ってます?」
自分の耳を指さしながらそれはそれは楽しそうな笑みの先輩。
「今まだ2時ですよ?」
「早くしてよ敗北者」
「じゃあやってあげますよ!先輩昨日の夜あんだけ大声でよがりまくってたくせによくそんな自信満々にこれますね!!」
昨日の先輩は本当に可愛かった。絶望的な睡眠時間だったにも関わらず肌艶がだいぶ良い。
「はー?そんな言うなら日和ちゃんだって、途中から子供みたいな声で甘えまくってたけどね?めちゃくちゃ可愛かったですけど?」
…えっ、恥ずかし。顔あっつ。
「先輩これダメージめちゃくちゃでかいですよやめましょう」
「同感」
一時休戦したところで、ちょっとづつ先輩の方に擦り寄って行く。
「…じゃあ、あの、いきますよ?」
「おーしどんとこい」
座っている先輩の顔を左側から膝立ちをして手で抱える。
次に、長い髪を手で掻き分けて耳に顔を近づける。
「ひゃう…!」
舌をを伸ばそうとした瞬間、先輩が艶かしい声を小さく上げる
「ちょ、まだ何もしてないんですけど」
「いや吐息が当たって…」
先輩、身体中敏感だなあなんて思いながら今度こそ舌を伸ばす。
舌先が冷たい耳に触れる。
「あ…んっ…」
我慢できず、といった様子の声が、すぐ近くから私の鼓膜を揺らす。
その声は私の理性を壊した。
少しづつ、ぴちゃぴちゃと水っ気のある音がしだす。
ちょっと変化させてみようと、耳の裏側と耳輪を唇で挟みながら舐めてみたり、耳たぶをちょっとだけ噛んでみたり。
「いやっ…ひよりちゃん、これ思ったより恥ず…あうっ」
「ふふふ。先輩腰がくがくですよ?可愛い」
「みみもとでいわないでぇ…」
「舌、入れますね」
「えっ、まって日和ちゃんそれはほんとにやば、いっ!?」
奥まで入れると気持ち悪いかもしれないので、いったん浅いところに留めておく。
そこでも先輩の反応はさっきと大きく違っていて、つま先まで体を大きく震わせている。
「ぞくぞくする…あぁっ…」
先輩の顔がどうなっているのか気になって、一度耳から顔を離す。
「あ…」
先輩の目は垂れ下がっていて、口周りは筋肉が弛緩したように蕩けている。
真っ赤な顔をしながら指で唇を押さえている様子は、昨日あれだけ発散させたはずの情欲をかき立てる。
「終わり…?」
真っ直ぐ私の目を見つめながらのその声は、まだ満足していないということがモロに伝わってくる。
「先輩がどんなやらしい顔をしてるか見ただけですよ」
「…いじわる」
私は再び耳に顔を寄せた。
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