不思議で麗しい、白猫のスパダリ

なんとなく宮沢賢治の世界のような、フンワリした優しくとりとめのない場所が描かれます。

行き倒れた女子高生、撫子が迷い込む、死出の旅路のホテル。そこではしっかり者揃いの従業員たちが働いていますが、どういうわけかオーナーは撫子に求婚!
微妙に人間とは感覚のずれたオーナー。撫子を求め、受けとめてくれるのだけど、何か秘密があるようで……踏み込ませない一線がありつつ近づく二人。

生きる、死ぬ。親と子。自分の意志。

そんな大切なことが柔らかくつづられています。
あたたかく、前を向ける物語だと思います。