第179話 心のダメージ


「野本さん!?」

「いえ、失礼しました」


野本さんは最後までは口にしなかったけど、言わんとする事はヒシヒシと伝わってきた。

後輩の野本さんまで……。


「御門、御門のいいところはそこじゃないから」

「うん、御門くん大丈夫だよ。わたしは気にしてないから」


ぐはっ……。


英美里と舞歌のそんな意図はないのは分かってるけど、追撃が鋭すぎて血を吐いてしまう幻影が見えた。


「2人とも、俺は大丈夫。大丈夫だから」

「先輩、すいませんでした。そんなつもりは……思わず口に」

「ああ、問題ない」


本当は問題しかないけど、こればかりはどうしようもない。

ゴブリンとの戦いでダメージをおうことは無かったが、まさかの戦闘終了後に心にダメージをおってしまった。


「ふ〜〜っ」


ここは心を落ち着けてリスタートだ。

このやりとりの間にも他のセイバー達は先へと進んでおり、俺達とは若干距離が空いてしまっているので見失わないよう先へと急ぐ。

時間にして5分くらいだろうか、すぐに次のゴブリンの群れにあたり即戦闘へと突入した。


「雑魚、雑魚、雑魚」


俺達は少し後方に位置している為、先行している他のセイバーが先にゴブリンと接触する。


「ゴブリン如きが調子に乗るなよ? 刻まれて死ね。『エアロカッター』」

「おおっ、やるな。俺も負けてらんねぇ。『アクセルブレイド』」

「俺に斬れないものはない。『気焔斬』」


確かに彼等のスキルは攻撃力高めの当たりスキルだとは思う。

だけど、さっきの戦闘に続きゴブリン相手に初手からスキルを発動している。

もう間違いない。

この人達は戦闘経験が浅く、言い方はアレだけどバカだ。

最初の戦闘は、まだわからなくはなかった。

ただ、最初の戦闘から間を置かずにエンカウントした事から、モンスターの密度は高いと思われる。

それなのにゴブリンが現れた瞬間、躊躇なくスキルを発動してしまった。

戦いはあっという間に終わり、後方の俺達は、ほぼ戦闘に参加する事はなかった。

そして、それは考えていたよりもずっと早く訪れてしまった。


「あ〜〜すまん。俺スキル切れたわ」

「俺も〜」


え⁉︎

もうスキルが切れたのか?

しかも2人⁉︎

まだ二回目だぞ?

しかも、ダンジョンに潜り始めてまだ15分も経ってないんじゃないか?

もしかしてあの2人レベル1だったのか⁉︎

ツッコミどころは満載だけど、あの2人はこれからどうやって戦うんだ?

集団戦だからレベルが低くてもうまく立ち回ればいけない事はないと思うけど、これ大丈夫なのか?


お知らせ

新作投稿はじめました。


非モテサラリーマン40歳の誕生日に突然大魔導士に覚醒する #40歳独身花岡修太朗が世界トレンド1位

https://kakuyomu.jp/works/16818093081837939348/episodes/16818093081838085001



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る