第180話 お勤めご苦労様

「あ〜俺はここまでだな。役目は果たした」


え⁉︎


「俺も、スキル切れたし頑張った」


え⁉︎ まだ15分しか経ってないんだぞ?

もしかしてこれで帰るつもりなのか?

そんなのありなのか?


「悪いけど、誰か帰り付き合ってくれない?」

「スキルなしじゃ辛いわ〜」

「しょ〜がね〜な。俺が付き合ってやるよ。まあ、俺も頑張ったしこのまま上がるわ」


マジか……。

確かにスキルの尽きた低レベルのセイバーがこのまま進むには厳しい。

それに戻るのも厳しいのはわかる。

わかるけど、全然役に立ってない!

これで戻ってもセイバーとしての義務を果たしたことになるのか⁉︎

いや、ゴブリン2匹ずつは倒した訳だし果たしてるか。


「じゃあ、あと頼んだ」

「無理すんなよ〜」

「あ〜今日は頑張った」


そう言いながら、三人のセイバーが来た道を戻って行ってしまった。

信じられない事に10人いたセイバーは20分足らずの間に7名となってしまった。

俺達以外には3人しかいなくなってしまった。


「御門くん、あの人達帰っちゃったね」

「ああ……」

「ギルドの強制依頼ってこんなんでいいの? 私がおかしいの? ねえ御門」

「いや、俺も初めてだしよくわからないけど、思ってたのとは違うな」


俺は少しでも強くなりたくて毎日にようにダンジョンに潜ってたけど、全てのセイバーがそうだとは限らない。

今まで他のセイバーと潜る事はほとんどなかったし、そもそも潜ってない人達とは顔を合わせる事もなかったわけだから、よくよく考えてみればあり得る事ではある。

まあ、いなくなってしまった人達を気にしても仕方がない。

気を取り直して先へと進もう。

先へと進む為に他のセイバーへと声をかける。


「え〜っと、進みますか」

「おお、そうするか」


人数が減ってもやる事は同じだ。

慎重に先へと進んで行く。


「ゴブリンだな」


俺達の以外にもセイバーが潜ってはいるはずなので、このペース、ゴブリンのエンカウント率が高い。


「みんな、スキルは無しで」

「わかってる」

「うん」

「まかせてください」


この先、3階層を目指すのであればゴブリン程度でスキルを浪費するわけにはいかない。


「いくぞ!」


人数が減ってしまったので、俺も前衛に立ちゴブリンと対峙する。


「また懲りずに現れたか! 『気焔斬』」


え⁉︎

ここでスキル?

使っちゃう? 

いや既に使ってる。

今は、他のセイバーの事を気にしてる場合じゃない。

目の前に迫るゴブリンに向け水月を振るう。

今回はそこまで数は多くない。

俺のノルマは1匹だ。

目の前のゴブリンを確実にしとめる。

動きを見定め、攻撃を避けながら水月の刃をゴブリンに突き立て消滅させた。


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