第181話 またひとり

まあ、これまでの戦いも苦戦はしてなかったし、他のセイバーの人達もゴブリンに負けるレベルでは無さそうだし、当然のように今回もそれほど苦戦することなく戦闘を終えることができた。


戦闘の後を確認すると今回は魔石が二個残されている。


一個は俺達のパーティが倒したゴブリンは残した物だ。


こういう場合どうするのが正解なのか、よくわからないけど、人数的にもこれは貰っても大丈夫なやつだよな。




「すいません。これうちで貰って大丈夫ですか? そっちのはそちらの誰かに」


「ああ、俺はそれで大丈夫だ」




三人のうちの一人は、納得してくれたらしく、一人が決めると残りの二人も同調してくれた。


ただ、魔石の分配は平和なだけでは終わらなかった。


問題は残された一個の魔石に対してセイバーは三人。




「あ~悪いんだけど、これ俺貰っていいか?」


「いや、なんでだよ」


「俺さっきのでスキル使い切っちゃったんだよね。だからもう戻るわけ。せっかくここまで来たしこれくらいご褒美にもらってもよくね?」




張り切って『気焔斬』というスキルを使ってた人か。


お構いなしにスキル連発してたからまだ余裕があるのかと思っていたらまさかのスキル切れ。


しかも、魔石まで欲しがるとはマナーも何もあったものじゃないな。




「お前……」


「なにか?」




ここはダンジョンだし揉めるのは避けて欲しいところだけど。




「ふ~っ。わかった俺はそれでいい。だけど戻るのには付き合わんぞ」


「大丈夫、大丈夫。俺、スキルなしでもそこそこいけるし」


「こう言ってるが、そっちはどうだ?」


「俺も、それでいいっす」




どうやら、心配したように揉めることはなく話はついたようで、『気焔斬』の人がゴブリンの魔石を拾うと本当に一人でダンジョンを引き返していった。


スキルなしでそこそこいけるならまだ戦えるんじゃとは思ったけど、後の祭りだ。


これでまたひとりいなくなってしまった。


俺達以外のセイバーは僅か2人となってしまった。


強制依頼とは何が強制なんだろうか。


多分、ここに来るのが強制なんだな。


たしかに、強制してセイバーに何かあったら自己責任をうたっていたとしても、やっぱり騒ぐ人もいるかもしれないし難しいのかもしれない。




「6人か。まあ、これからだな。あらためまして。俺は海江田仁助だ」


「あ~俺は山田元気っす」




残った二人と自己紹介を済ませ、先へと進むことにする。


それから何度かゴブリンと戦ったけど、海江田さんと山田さんはまともだった。


ゴブリン相手にスキルを使用することなく戦えている。


話を聞くと2人共普段はソロでやっているそうなので、それなりに戦い慣れているようだった。


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