第182話 ダンジョンとスルメ

話を聞くと海江田さんも山田さんも基本ソロなのでダンジョンに潜る際は他のパーティと一緒に活動する事もそれなりにあるらしく、初見のパーティと一緒に活動する事には慣れているそうだ。

なので、相談して、二人には俺達パーティと合わせてもらう事にした。

二人共前に立ってくれるそうなので、俺と合わせて三人が前衛を張れば安定感は格段に増すはずだ。


やはり俺達のホームダンジョンよりもゴブリンの密度が濃いようで、先に進むにつれゴブリンとのエンカウント率は上昇しすでに何度も戦闘を繰り返している。


「いや、能瀬君達は本当に戦い慣れてるな」

「普段からダンジョンに潜ってますからね」

「高校生だろ? それがすごいな」

「結構学校にもモンスター来ますし、それなりに強くならないと」

「あ~そうか。学校もか。嫌になるな」

「人が集まってるからか結構来ますよ」

「スクールセイバーも大変だな。俺なんか自分の事だけで精一杯だ」

「あ~俺もっす。月に100万貰えるし、そこまで無理しなくてもいいじゃないっすか。なかなか人の事までね~。まあ死にたくないんでそれなりに鍛えてるっす」


もらってたマップによるとそろそろ下の階層への階段がありそうなんだけど。


「あれじゃないかな」


舞歌が指差す方向を確認すると確かに階段がある。

最初はどうなる事かと思ったけど、ここまで順調にきている。

ここまでで気になるのは、ゴブリンの数だけ。

俺達が第一陣ではないので、先発のセイバーも同様のルートで潜っているはずだけどそれにしては間引かれている数はそう多くないような。


「少し休んだら2階層に降りましょうか」

「ああ」

「いや〜結構働いたな〜」


階段の周りにはゴブリンの気配はないので、腰を下ろして束の間の休憩を取る。

レベルアップの恩恵でそこまで肉体的な疲労はないけど、どちらかというと精神的な休みの意味合いが強い。

肉体的なステータスの向上に比べて精神的な強さが比例して上がっているわけではない気がする。

なのでこうやって休憩を挟むのは結構大事な事だ。

ダンジョンに潜るようになって要領がつかめてきたとも言える。


「よかったら食べますか?」


舞歌が海江田さん達にも甘いお菓子を配る。


「やっぱり、女の子がいると違うな」

「そうっすね〜。この気配りがたまんないっす。男ばっかりだと、ノンストップで修行みたいですからね〜」

「ああ、前一緒になった奴らは、保存食だとか言って歩きながらスルメかじってたからな。あれはあれでうまいけど、ダンジョンでスルメはないわな」

「スルメはきついっすね」


スルメか……。

俺達のパーティでスルメが出て来た事はないな。

ダンジョンにスルメを持ってくるとは世の中にはいろんな人がいるんだな。

臭いでモンスターが寄って来そうだ。


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