ママの好きな人(肉)は、筋肉質な人
ゆきまる書房
第1話 私の好みは──
うちのママは人喰いだ。見た目は人間そっくり。私の友だちからは「モデルさんみたいで綺麗だね」ってよく言われてる。
うちのパパは人間だ。ちょっと肥満気味。最近受けた健康診断でメタボの予備軍と診断されてちょっと焦ってるらしい。
そしてうちの食卓にはよく、ママが捕まえてきた筋肉質な人の肉が並ぶ。完全にママの好みだ。「歯ごたえがあってあっさりしてるから好き」とママが言っていた。確かに美味しいんだけど。
人間のパパは初め、人肉を食べることにやっぱり抵抗感があったそうだ。だけど食べてみたら「意外といけた」らしく、パパの大好物にもなった。パパもママと一緒で筋肉質な人の肉が一番好きらしい。ママは女の人が好みで、パパは男の人の方が好きなんだって。
ママとパパの馴れ初めは、ママが筋肉ムキムキの男の人を道端で食べているところをパパに見られた時らしい。ママは思わずパパを殺そうと思ったそうだけど、血だらけのママを見てママが怪我してるって勘違いしたパパに優しくされて、そんなパパの優しいところに惚れたそうだ。
ママのアタックはすごかったそうだ。特に肉料理。パパにも美味しく人肉を食べてもらえるように、筋肉質な人(男女問わず)を捕まえては調理したらしい。初めは捌きたてをパパに勧めてたみたいだけど、生は食べにくそうなパパを見て料理を覚えたんだって。
ママの料理の腕が上がるにつれて、元々筋肉が程よくついてたパパはどんどん太ったらしい。「パパを食べたくないから」という理由で、ママが美味しい人肉料理をパパに振る舞ったせいもある。
私には悩みがある。パパとママの惚気を延々見させられることもそうだけど、「あなたも早く人を捕まえて料理を作っちゃいなさい。お勧めは筋肉質な人よ」ってママに急かされるのもそうだけど。
──最近は、パパを見るとすごくお腹が空いて、よだれが止まらなくなっちゃうんだよね。
ママの好きな人(肉)は、筋肉質な人 ゆきまる書房 @yukiyasamaru1
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます