テムガの筋トレと初めての擦(こす)り愛

 魔界に戻ったテムガは、すぐさま魔界図書館に直行する。


「へぇ〜、筋肉を増やすには鳥肉がいいのかぁ〜。てことは……《ロック鳥》の肉だな!」


 ロック鳥とは、巨大な象すら片足で鷲づかみに出来るほど、超巨大な鳥である。


 ― ロック鳥が生息するロック山脈 ―


「いくぜぇロック鳥! 大人しくあたしのアソコの筋肉になりやがれぇ!」


“グギャアアァァ!!”


「うおおおぉぉぉ!!」


 ― 数刻後 ―


 テムガはロック鳥のクビを切って血を抜き、羽をむしり、皮を剥いで、肉をぶつ切りにすると、塩を振り、乾燥させ、串に刺して、火山の火口で燻製にする。


「よし! これだけあれば一ヶ月保つな!」


 ― 再び魔界図書館 ―


「えっとぉ、締まりとを固くするトレーニング方法は……っとぉ……」


 ― 魔界フィットネスクラブ ―


「おいっちにぃ〜さんしぃ〜! 締めてぇ〜緩めてぇ〜!」


 ― 魔界魔法学校 ―


「トレーニングでは限界があるからな。こうなったら【圧縮】の魔法を覚えて、アソコの筋肉を超圧縮するぜ!」


 ― そして 妖しい魔界玩具店……。 ―


 サングラスにマスク、フード付きマントを纏ったテムガは、店の親父に声を変えて尋ねる。


「超固い張型ですかぁ~? へっへっ、お客さん、いいところに来ましたねぇ~。ちょうど異世界の金属、《いりじうむ》で造った張型が入荷したんですよぉ~」


 さらに親父は、テムガの耳元に口を近づける。


「ここだけの話、コイツは、サキュバスの女王、《リリス》様もご愛用なさっているんですよぉ~ウッシッシッシ~」


“ドン!”と、テムガはカウンターの上に魔光石が入った袋を置いた。


「へっへ~。毎度あり~」


 家に帰ると早速、張型の封を破る。


「こ、これがリリス様も愛用なさっている張型……。ずっしりと重く、そして固いぜ……ゴクリ……」


 そして、"試食"すると……。


「ふぅ~。さっすがリリス様愛用品! 入れた瞬間、バリスタ(巨大弓)で貫かれた感じだったぜ……。だけど、コイツを削れるようにならねぇとな……」


 こうしてサキュバス史上、もっともハードな“ち”……いや、筋トレが一ヶ月間続いたのであった……。


 そして一ヶ月後、ヘイネス邸。


「ただいま戻りました。一ヶ月もお屋敷を空けてしまって申し訳……」


「テムガ!」


 挨拶も終わらぬうちに、ヘイネスがテムガの腰に抱きついてきた!


(あぁ~! キュンキュンすりゅう~!! 疲れが癒されるぅ~!)


 そしてサキュバスのさがか、自然とヘイネスの半ズボンに眼をやると、既に膨らんでいた……。


(“決行”は今夜だな……)


 ― 真夜中 ヘイネスの部屋 ―


 催眠と催淫の香に満たされたヘイネスの部屋で、メイド姿のテムガは下着を脱ぐ。


姿じゃ怖がられるからな……)


 そして、ヘイネスのパジャマの下を下着ごと脱がせる。


(この前よりも大きくなっている? いや、これぐらい想定内!)


 まず口で《自主規制》。そして胸の谷間で《自主規制》、最後にヘイネスの腰にまたがると、ゆっくりと腰を落としていく。


 すると、寝ぼけた目でヘイネスの口が開く。


「あ……れ……テムガ……? だ、ダメだよ……そんなこと……しちゃ……僕は……病気……」


「その病気をテムガが治して差し上げます。我慢せず、気持ちよくなって下さい」


「う……うん」


《以下、自主規制》


 こうして無事、ヘイネスの鋼鉄部分はきれいに削り取られ、テムガは無事、七つ星の精をゲットできたのであった。


(はぁ~。精を搾り取るのに何回イッたか覚えてねぇや……。そのおかげで“蜜”が冷却水代わりになったから、アソコがやけどしなくてすんだけどよ……)


 合図すると、チエルと自動人形が部屋に入ってきた。


 ヘイネスの股間を見たチエルは涙を流す。


「あ、ありがとうございます。後は私どもにお任せして、ごゆっくりお休みなさって下さい」


「ああ、そうさせてもらうわ……」


 倒れるようにベッドに横になったテムガは、天蓋を見ながら考える。


(あたしも……年貢の納め時かな……?)


 ― 株式会社ザメムの社長室 ―


 女社長が秘書に尋ねる。


「そういえば数ヶ月前、精摂取一位になったテムガってサキュバスの子、最近見ないわね?」


「あれ? 知らなかったんですか? テムガ、ウチとの契約解除して、自分で会社立ち上げたんですよ」


「へぇ~やるじゃない」


「なんでも七つ星の精の男の子と契約して、しかもその子が超絶倫らしく、ご自分で直接、メデューサ様やラミア様、それにリリス様と取引しているんですよ~」


「なんですってぇ~!」


 ― ヘイネス邸 午後 ―


 窓ガラスを拭き掃除しているテムガのお尻に、ヘイネスが抱きついてきた。


「テムガぁ~。“お馬さんごっこ”しよ~」


「いけませんヘイネス様。朝食後になさったばかりじゃないですかぁ~」


「でもぉ~。またアソコが膨らんできたんだよぉ~」


「お掃除が終わるまでもう少しお待ちを……あ、いけません、スカートをめくっては!」


 力の抜けたテムガは四つん這いになり《自主規制》。


「あ~気持ちよかった! 次は夕食後だね~」


(あ~あ、も追加か……。でも、やめられまへんなぁ~!)


 こうしてテムガは、ヘイネスが起きている間は朝伽、昼伽、夕伽、お風呂伽、そして夜伽を……。


 ヘイネスが寝ているときは、鍛えた体で刺客たちをなぎ倒す、そんな平和な日々が過ぎてゆくのであった……。


 ちなみに……。


《ヘイネスの七つ星精でパワーアップした魔王ディミルド軍》


 プラス


《ヘイネス、テムガ、そしてチエルが制作した数多くの自動人形戦士》連合軍が王都セシルを襲撃し、ヘイネスの母バジルを救出するのは、そう遠くない未来のお話である。


 ― 完 ―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界小噺 『鋼鉄の凸とイリジウムの凹』 宇枝一夫 @kazuoueda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ