現代魔術師に必要なモノ、それは、筋肉!

水城みつは

国立魔術研究所付属高校

 国立魔術研究所付属高校、俺は一期生二十名の内の一人として入学した。

迷彩服に身を包んだ担任の先生が入って来たことでざわついていた教室が静かになる。

「私が君たちを担当する、桜桃ゆすらうめしずがだ。

 ところで、現代魔術師に必要なモノが何かわかるか?」

そう言って皆の顔を見渡す。

魔術は魔力エーテルを操作、変換して発動する。

その素質があって集められたのが俺たちだ、だとすると……


「現代魔術師に必要なモノ、それは、筋肉!」


「なんでやねん!」

思わず立ち上がってつっこんだ。


「良いツッコミだ。

 だが、筋肉が必要というのはボケではないぞ」

そう言ってホワイトボードに魔術発動までの手順を書いた。


「お前はどこまでできる?」

土に適正はあるが、まだ魔術と言えるほどではない。

「身体強化魔術が少しと砂をほんのちょっとまとえるだけです」

「ほう、ちょっととはいえまとえるのは優秀だぞ」

ホワイトボードの「操作」「変換」の横に「まとう」と書き足した。

「しかし、現状できる技術での戦闘を考えた場合、身体強化を行い、砂を纏って固くした拳で殴る、これが最適解と言うわけだ」

そして、先生は俺を指差して声を上げた。


「つまり、今お前に必要なモノ、それは、筋肉!」


「まあ、今現在、放出系の魔力エーテル操作の方法は発見されていない。

 フィクションでよくあるようなファイアーボールなんかは実現できんのだ。

 土属性でも石礫を生成しても自力で投擲するしかないな」


 そうなのだ、魔力エーテルが発見、もしくは、発生してから十年とたっていないが、その特性については未知の事ばかりだ。

「とはいえ、君たちが魔力エーテル放出を実現するかもしれない。

 ここはそのための魔術研究所付属高校だからな」

そう言って笑った。


 「それでは今日の授業を始めたいところだが、まずは筋力作りも兼ねて校庭の石拾いと草むしりといこうか」

国立魔術研究所付属高校、できたばかりのこの学校は何一つ設備が整っていなかった。








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