今夜も、美味い、筋肉を!
涼
筋肉焼き!!
『僕、筋肉焼きマン!!みんなに、今夜も、美味い、筋肉を、届けるよ!!!』
テレビの中で、筋肉ムキムキの男芸人が、そう叫ぶ。私の息子がそれを見て、
「ママ!僕、筋肉が食べたい!!」
と、そう叫ぶ。何が何やら…。と、私は毎週日曜日の6時になると、溜息を吐く。息子は、最近この芸人がお気に入りらしく、毎週日曜日の6時になると始まるこのバラエティー番組に、ご執心なのだ。
「筋肉ね。はいはい。今夜はハンバーグよ。それでどう?」
「やだー!!!筋肉が食べたいぃぃ!!!」
息子は、叫び声を、絶叫へと変え、筋肉を欲する。はてさて。毎週、これに付き合わされる私は、たまったもんじゃない。
『筋肉はね!と――っても体に良いんだ!!みんな、僕の筋肉を食べると、すんごく元気になれるんだよ!!さぁ!!みんな、今夜も、美味い、筋肉を食べよう!!』
(また、余計なことを…。お前はアン〇ンマンか…。『僕の筋肉は美味い』って…)
と、心の中で私は呆れるのだが、それでも、4年間、母親をやっているのだ。それなりに息子のことは理解している。
「実はねぇ…、このハンバーグ、筋肉焼きマンの筋肉を使ってるのよ♡」
「え!?本当!?ママ!!」
一気に息子の瞳が煌めく。そこに、疑いの影はない。機嫌を損ねないよう、何とか夕食に息子を誘い出し、美味しそうに【筋肉】を食べる息子に、呆れながらも、幸せな気分になるのだ。
「美味いな。【筋肉焼きマン】のハンバーグ」
(いたのか!夫よ!)
夫も、毎週日曜日は大体肉に関するメニューなので、肉好きの夫も、それは喜んでいる。
番組が終わり、夕食を食べ終え、片づけをしながら、私は一言夫に物申す。
「パパ、あなたの仕事どうにかならない?」
「ん?だってそれはしょうがないだろう。必要なことだ」
「そうなんだけど…」
「まぁ、こんなことになるとは思ってなかったが…」
夫の職業は、ボディビルダーだ…。
今夜も、美味い、筋肉を! 涼 @m-amiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます