777文字で完結させる挑戦 第五回 筋肉

木村空流樹ソラルキ。

第1話 講義内容 筋肉

 先生は生徒を前に向いた侭、立っている。

 講義室になっている部屋に生徒は3人しかいない。年齢も様々で二十代、三十代、四十代だろうか。職業訓練だった。

 四十代が女性生徒で他は男性である。

「本日の講義は、筋肉についてです。」

 先生は天井から画面を下ろし、PCから投影されたテキストを指差した。

「筋肉や骨、臓器、皮膚、爪等の主成分もタンパク質です。 筋肉は水分を除くと約80%がタンパク質からできています。これを聞いてどう思いますか?」

 二十代の男性が声を出した。

「体の殆が筋肉と水分で出来ていると思います。」

「他には?」

 生徒の男女が黙っている。

「なら、超高齢化社会になるこれからは筋肉の役目はあると思いますか?健康の為にどれだけ動け、どれだけ思考出来るのか……、認知症になるのと、寝たきりになるのはどちらが、尊厳を守れると思いますか?」

 二十代が「筋肉が動かせるので認知症だと思います。」

 三十代が「寝たきりになっても思考がしっかりしている方もいます。」

 四十代は何も答えない。

「答えはどちらも同じです。寝たきりが進行すれば認知症の症状が出る。認知症で体を動かしていても注意力が低下し寝たきりにもなります。2週間寝たきりになれば健康な人でも筋力は落ちます。老人なら10〜20%低下します。」

 女性は窓の外を見た。

「寝ている人が汎用性障害を発症し易いようです。動かしていなければ筋力がついて、高齢者でも防げます。」

 女性は窓から眺める景色に溜息を吐いた。

 青色の地球と呼ばれた惑星は、鉛色で曇っている。

 人間が惑星を捨てて、コロニーで冷凍睡眠をするようになって500年を超えている。

 超高齢化社会になり、人工重力では筋肉の低下は否めない。顔に血が昇らないだけましにはなった。

「一定時間体に電流を流し、毎日2キロ歩くだけの負荷を掛けています。」

 このコロニーに作業員は四人しかいないのである。




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777文字で完結させる挑戦 第五回 筋肉 木村空流樹ソラルキ。 @kimurasora

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