日記

ゴローさん

ある日の僕の出来事

「俺じゃないですよ!」 

「じゃあ、なんで顔をそんなにしかめてるんですか?見るからに『私は不審者です』って感じなんですが?」

「生まれつきこんな顔なんですよ!文句を言うなら僕の親に言ってください!」

「いやぁ、そういう事を言っているわけではないのですが…じゃあもうひとつ聞きますがなんでそんな格好して散歩しているんですか?こんな寒い中タンクトップで?」

「暑がりなんですよ!」


 夜中に散歩していたら警察官に止められた俺は今、絶賛職質中である。


 そして今、俺はとても腹が立っている。


 こんな俺みたいなちょっと顔が怖いだけの善良な市民である俺を疑うとは警察官の見る目はどうなっているのか、と。


 近頃の警察官は報酬目当てにそこかしこの人に職務質問しているのだろうか


「最後にもう一ついいですか?」

「チッ。なんだよ!」


 それでも食い下がってくる警察官に俺は苛立ちを隠せない。

 警察官に向かって舌打ちをするなんて普通はご法度だが、この場面は致し方ないだろう。許してほしい。


 その警察官もそのことw意に介した様子はなく、口を開いた。

「そんな格好してたら風邪ひきますよ?」

「余計なお世話だよ!でもありがとうな!」


 実は、さっき暑がりといったのは嘘だ。


 さっき散歩に行く前、有名なK-popのアイドルである「sanziu」のダンスの踊ってみた動画を「TEK TOK」という動画投稿サイトに上げるために取っていたのだが、それが思ったよりハードで体に熱が溜まってしまったのでこんな寒い中タンクトップで散歩に出ていたのだ。


 が、


 ――そんなこと恥ずかしくて警察の人に言えない…!



 さっきから高圧的になっているのは職質をされてイライラしているのもあるが、一番大きな要因はその恥ずかしいことから気を逸らすために高圧的になっているだけに過ぎなかったのだ。



「わかりました。ご協力感謝します。」


 警察官が職質を切り上げて俺から離れていく。


 その姿を見ながら、俺は呟いた。


「もう踊ってみたとらないでおこうかな…」


 冷静になった俺の体に冷たい風が容赦なく降り注いだ。

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日記 ゴローさん @unberagorou

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