05:旅行に向けて筋肉を付けたい
矢木羽研(やきうけん)
テーマ「筋肉」
休日のドライブは続く。そろそろ陽が傾き始めてきたので、帰りのことを考えなければならない。とはいえ、今のところ自宅を中心に同心円状にぐるりと周っているので、そう遠くに来ているというわけでもないのだが。
街道筋に戻ると、ショッピングセンターがあった。大手ディスカウントストアを中心に専門店がいくつか入っている。何度か来たことはあるのだが、一年くらいご無沙汰だっただろうか。久しぶりに入ってみることにした。ここには本屋もあったのだが、今はスポーツジムに置き換わっていた。しかし見る限り、あまり繁盛していないようである。
田舎でジムは流行らない。車が中心の生活であるほど意識的に体を鍛えることが重要になってくるなのだが、車社会だからこそジムで汗を流した後に自分で運転して帰宅するというのは辛いというジレンマがあると思う。かくいう僕もそういうクチであり、せめて布団の上で腕立て伏せや上体起こしをやってみたりはするが、なかなか習慣化はしない。体重だけは毎日チェックして「標準」ラインをキープしているのだが。
それはさておき、せっかく店に来たので買い物をする。大きい店だと普段見かけない商品が並んでいるのが楽しく、日持ちのする調味料や缶詰類を中心に、珍しいものがあるとつい買ってしまう。生鮮品や惣菜は日が落ちてから近所のスーパーの値引きを狙おうかなとセコいことを考えていると、レジ前のワゴンに一風変わった商品が並んでいることに気づいた。握力トレーニング用のハンドグリップだ。
いくつか手にとって、ちょうどよい大きさで程よく硬いものを選び、買い物カゴに入れた。握力というのは道具がないと鍛えにくいものだし、その道具もかさばらないので、ちょっとした筋トレ気分を味わうにはうってつけの道具だと思ったのだ。この夏は北海道旅行を予定している。長期ドライブを楽しむなら、もう少し体力をつけておいたほうが良いだろう。
一通り買い物を済ませたところだが、まだ夕暮れには遠い。もう少しだけ知らない道を走ってみようと思い、僕は駐車場を後にするのであった。
05:旅行に向けて筋肉を付けたい 矢木羽研(やきうけん) @yakiuken
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます