ムキムキの救世主/悪魔
ミンイチ
第1話
目が覚めると、僕は砂浜でびしょびしょになりつつ横たわっていた。
僕は飛行機に乗っていたはずだ。
こんな砂浜で横たわっているはずがない。
現実じゃないはずだと思いつつ海の方を見ると、大量の飛行機の破片が浮かんでいた。
エンジンから出ているであろう黒煙も見えるが、その煙の元は見えない。
それなりに流されたのだろうと思っていたが、それは間違いだった。
煙が見える方向から、他の生存者を乗せた飛行機の破片がこちらに向かってすごい速度で飛んできたからだ。
飛ぶと言っても、水面スレスレを飛んで来るのではなく、水切りのように水面を跳ねながら飛んできた。
上に載っている人を吹き飛ばすことなく、この砂浜に向かってすごい勢いで飛んできたが、砂浜に10メートルほど前で沈み、載っていた人はちょうど砂浜にたどり着いた。
そこにいる人たちは何が起きたか理解しきれていなかったが、大きな怪我はなかった。
彼らがついてすぐに、海からは凄まじい音が聞こえてきた。
『ザパーン』とも、『ドパーン』とも、『ダダダダダ』とも聞こえる水音だ。
そこには、ムッキムキの男性が大きな水柱とともにこちらに向かって泳いできていた。
どうやら、僕たちはあの人に助けられたらしい。
彼は浜につくと流れてきた機体の破片で破片を引っ掻いて火花を出し、近くの植物から取ってきたわたに火花をあて、引火させた。
彼が軽々と持っていた機体の破片を後から持とうとしたが、全くと言っていいほど動かせなかった。
次に彼は流れ着いた島の森に入って行き、20分ほどで帰ってきた。
彼は大きなワニを持っており、そのワニは大量の拳の跡と手の形に沈み込んだ頭を持ち、すでに血抜きはされているようだった。
周りの人とその肉を調理している間、彼は海に潜って魚や貝、サメなんかを取ってきて、これらの処理と調理も増えていった。
全てを調理し終わる頃にはあたりは暗くなっており、料理を食べると全員が眠ってしまった。
次の日、太陽が真上に来る頃に救助のヘリが来た。
発見自体は昨夜にされていたが、飛行機の周辺を先に捜索していたために遅れたらしい。
順番にヘリに乗っていく途中、彼は泳いで帰ると言ってヘリから飛び降り、すごい勢いでヘリから遠ざかっていった。
ヘリから降りて救助に来ていた船で聞かされたことだが、彼はこのような事故が起きた時に高確率で現れるようで、「筋肉の悪魔」や「ムキムキの救世主」と呼ばれているらしい。
ムキムキの救世主/悪魔 ミンイチ @DoTK
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